杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
すべての東大生がエリートではない、という残酷な事実
前半では、「ヤリサー」に参加する女性が絶えない理由に言及した。後半では、男性側の事情を考えてみたい。女性と性行為をしたいなら、風俗産業に行けばいい。今は安い値段で、とびきり可愛い女性がサービスをしてくれるのだから。なのに、なぜ、わざわざ「ヤリサー」を作って、逮捕される可能性のある強姦まがいのことをするのか。
理由のひとつとして、男性同士の人脈を作ることが、難しいということがあろう。
女性はコミュケーション能力が高いので、初対面でたわいもない話で仲良くなれる。ジャニーズや韓流スター、また、飼っているトイプードルの話題などで盛り上がって、相手と連絡先を交換し、親しくなっていく。だが、男性の場合は経験の共有が必要になるからではないか。それが『スーフリ』のメンバーの場合、女子学生への性的暴力だったのかもしれない。
『スーフリ』事件で逮捕されたひとりは、現在、ビジネスで成功し、リッチな生活を送っている。あれほどの注目される事件の加害者として、逮捕され、有罪判決までくらった人物が、どうしてビジネスで成功したかといえば、そこにはやはり『スーフリ』で培った人脈があるように思える。女性を輪姦することで、男性側は秘密事を共有し、つながりを強くしていく。それはビジネスに繋がるコネクション作りになったのではないだろうか。つまり、『スーフリ』における性的暴力は、性的な快楽よりも、営利が目的だったように見える。
ところが、今回の東大生5人が起こした事件は、『スーフリ』のような巧妙さはない。報道によると、女子学生にカップラーメンの汁をかけたり、局部にドライヤーの熱風を当てたりしたそうだ。男同士のつながりを強めるためにやったというよりも、単なるいじめという印象を受ける。
なぜ、彼らはこのような行動に出たのか。これは私の推測だが、彼らは東大内部のカーストで下位に属していたのではないだろうか。東大というところはカーストが強固に存在する。かつてならば、地方の秀才が東大に入って、自分は東大で下の方だと自覚しても、それを受け入れ、真面目にやって、就職していった。しかし、最近だと、それが受け入れられず、引きこもりや鬱病になる学生が実に増えているそうだ。
東大は入学してから、成績で、専攻(学科)が決まる。入学後、真面目に勉強しても、希望どおりの専攻に進学できない学生も多い。そういうシステムがあるので、学生たちは自分のカーストを自覚しやすいのだ。
今回の報道を見たある東大関係者は、加害者の所属する専攻をさして「出来の悪い
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