19年W杯、20年東京五輪への再起に向け世界女王の米国と2試合戦う
2016年06月17日
サッカー界では久しぶりに「代表アベックマッチ」が実現した。こんな言い方がずい分と懐かしく、どこか前時代の香りが漂う理由は、この10年、目覚ましい進歩でついにW杯優勝(2011年)まで果たした女子サッカーの存在感が、「アベック」で扱わずとも十分に認知されたひとつの証なのだろうと思う。
リオデジャネイロ五輪出場権を逃した女子日本代表「なでしこジャパン」は、米国コロラド州デンバーで現地2日(日本時間3日午前)に米国と、完全なアウェーとなる満員のスタジアムで親善試合に臨み、男子も同じく3日(夜7時半)、同じ満員でもこちらはホーム(豊田スタジアム)でブルガリアとキリンカップを戦った。
男子の7-2での圧勝に比べ、海外で、しかも衛星中継のみだった女子は紙面上、ずい分小さな扱いである。
現役時代(ベレーザ=現在日テレ)MFとして女子リーグ開幕初得点を記録し得点王、代表戦と日本女子サッカー界をけん引した監督も、アメリカには「勝てないどころか引き分けもなかったはず」と話す。しかし世界女王相手に引かなかった。初めての試合前ミーティングでは、選手をこう鼓舞して送り出したという。
「なでしこは倒れてはいない。たとえリオに行けなくても、それを示す戦いをしよう。1人1人がチャレンジする試合を!」
なでしこ、と呼ばれる前に引退した、しかし逞しい「なでしこ魂」を秘めた女性監督のスタートに、ふさわしい言葉だった。
初選出での初先発2人、佐々木監督時代は「スーパーサブ」とベンチスタートだった岩渕真奈(バイエルンミュンヘン)を先発で、しかもこれまでなかったワントップに据え、不動のFW・大儀見優季(フランクフルト)を中盤でサイド起用。実に「らしい」強気の布陣、選手起用であり同時に、佐々木監督から大きく変貌を遂げる、との強いメッセージも込められていたはずだ。
前半14、22分と、そのFW2人がゴール。2-0と先制した後しばらく、1万7000人が詰めかけたスタジアムは静まり返ってしまった。
初戦は、大儀見が警告2枚で退場し結局3-3と追いつかれ、第2戦(オハイオ州クリーブランド)は後半30分過ぎの激しい雷雨で中止に(0-2)。初戦前に行えた練習はわずか4回と
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