夏季五輪初の女性主将・吉田沙保里を送った壮行会は前代未聞の豪華さ
2016年07月19日
大宴会場の入口で、まるで政治家が資金集めに行ってきたパーティーではないか、と一瞬考えたが、いや、そのレベルなど遥かに超えている、とすぐに思い直した。
ヒロインによく似合う鮮やかな生花で作られたスタンドフラワーが、宴会場入口前から両側に数十㍍びっしりと並べられ、送り札には人気芸能人、プロスポーツ選手、有名プロダクション、日本の財界を代表する人物たちの名前が記されている。今どきの政治家だって、これほどの集客力を誇る会を行うのは難しいはずだ。
会費2万円を払う参加者の受付には長蛇の列ができ、会費のほかにご祝儀袋を差し出す出席者も多数、スケジュールの合間を縫って大人気のタレントたちが「一言お祝いを」と、続々と会場に駆け込
過去にも、そして今回のリオデジャネイロ五輪においても、数多くの代表選手壮行会を見てきた。しかし、7月2日、都内・東京ドームホテルで開催された女子レスリング、吉田沙保里(33)の壮行会ほど豪華で、派手な壮行会を取材した経験はない。
前人未到の4連覇を(今回は階級変更で53キロ級)をかけ、夏季五輪では史上初となる女性主将に指名され、名実とも日本選手団の顔となる女性アスリートをリオに送るために土曜日の夕方、1096人(実行委員会発表)が集結。発起人名簿には親友・澤穂希さんら過去の五輪メダリスト、王貞治氏らスポーツ界、乾杯の音頭を取ったアントニオ猪木氏に朝青龍と格闘技界の人脈、石田純一氏に木梨憲武氏、野田聖子衆議院議員、吉田の母校、志学大・谷岡郁子学長ら約50人が並ぶ。入口からバルセロナ五輪金メダリストの吉田秀彦氏、高田延彦RIZIN統括本部長に肩車されて主役が登場し会場の「お祭り」ムードは早くもピークに達した。
しかし、これは一体何のパーティーなのか。肝心の「うたい文句」は広い会場のどこにもない。2016年リオ五輪全ての壮行会を象徴するシーンでもある。特別ないわば御達しが出ているからだ。
女子レスリングで4連覇を狙う宴会にも関わらず、外にも「オリンピック」「リオ」「壮行会」或いは4連覇を狙う上で欠かせない「金メダル」といった文字がどこにも見当たらない。1000人の前に掲げられていた大看板には「めざせ、前人未到の四連覇」とだけある。これでは、スポーツを深く知らなければよく分からないだろう。
JOCは、IOC(国際オリンピック委員会)が定めるルールを、より厳格に守るよう、5月に各競技団体向けに詳しい説明を行った。ロンドン前にもこうしたルールは存在していたが
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください