再選の意欲を感じさせる籾井会長、後任候補に板野NHKエンタープライズ社長の観測も
2016年07月21日
浜田健一郎氏(68)の後任の経営委員長として6月28日に選ばれたのは、JR九州相談役の石原進経営委員(71)。2010年12月に就任した経営委員としては最古参だ。
就任当日の記者会見で石原氏は、委員長に自薦したことを明らかにした。もう1人の候補者がいて、石原氏ら2人が所信を表明した。
残り10人の経営委員が議論した結果、「リーダーシップのあり方は多様だが、所信表明やこれまでの経営委員会での発言等から、現在のNHKに対しては石原委員のアプローチがより相応しく、経営委員会への貢献度が高いと総合的に判断し、全員一致で石原委員を委員長に選出することに合意した」(6月28日経営委議事録)。そのうえで、候補者も含めた12人で結果を再確認し、全会一致で石原委員を経営委員会の委員長として選出した。
他薦された1人が全会一致で決まるというこれまでの委員長選出と比べれば、異例の過程といえた。
関係者によれば、もう1人の委員長候補は別の委員から推薦された委員長代行の本田勝彦・日本たばこ産業顧問(74)だったという。本田氏は15年3月から就いていた委員長代行を継続することになった。
本田氏は13年11月に経営委員に就任した際は学生時代に安倍晋三首相の家庭教師をした経歴から、官邸との距離の近さを指摘する見方が強かった。しかし、実際には直言するタイプで、経営委でもその姿勢を示してきた。
例えば、理事人事の任命を同意した今年4月12日の経営委では、「いまはNHKにとり大変大事なときでありますが、この時期に、理事の4名の方が退かれますが、任期が来たから全員退任ということは、普通はあまり考えられない人事ではないかと思います。もう1点、今回再任される木田(幸紀)さんは、昨年、退任されてN響の理事長になられました。関連団体の長から1年ちょっとで返すというのは、普通は考えられない」と、籾井会長に見解を求めた。
一方、石原氏は3年前の経営委で籾井氏を会長に推薦した。このためか、会長就任後の籾井氏を厳しく追及することはなかった。浜田前委員長の後任に対する意欲を周囲は感じていた。
当初、浜田前委員長は後任に本田氏を想定していたが、本田氏は固辞していたという。ところが、周りの説得を受け、委員長就任を引き受ける姿勢に転じたらしい。結果的に、委員長候補が一本化しない形となった。
経営委としての最大の仕事は会長選びであり、その中心となる委員長の役割は大きい。籾井会長の評価を聞かれた石原氏は「籾井さんは誤解される発言が何回かあった。注意も3回した。こういったことがないよう求めていきたい」と述べる一方で、「収支の改善はきちんとやっている。
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