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異例の自薦で経営委員長に選ばれた石原氏

再選の意欲を感じさせる籾井会長、後任候補に板野NHKエンタープライズ社長の観測も

川本裕司 朝日新聞社会部記者

衆院総務委員会でNHK予算案を説明する籾井
勝人会長=2016年3月24日拡大衆院総務委員会でNHK予算案を説明する籾井 勝人会長=2016年3月24日
 就任してから数々の問題発言を繰り返してきたNHKの籾井勝人会長(73)が来年1月24日に1期3年の任期を迎える。続投を認めるか、新しい後任を迎えるかを決める経営委員会では新しい経営委員長が就任し、7月26日の経営委で指名部会を立ち上げ、次期会長選びを始める。籾井会長は再選にコメントすることはないが、記者会見で受信料値下げに積極的に言及するなど、2期目への意欲とも受け止められる発言を重ねている。早くも会長候補の名前が浮上するなか、いつも難航する公共放送のトップ選考が半年後のゴールに向けて動き出した。

  浜田健一郎氏(68)の後任の経営委員長として6月28日に選ばれたのは、JR九州相談役の石原進経営委員(71)。2010年12月に就任した経営委員としては最古参だ。

  就任当日の記者会見で石原氏は、委員長に自薦したことを明らかにした。もう1人の候補者がいて、石原氏ら2人が所信を表明した。

  残り10人の経営委員が議論した結果、「リーダーシップのあり方は多様だが、所信表明やこれまでの経営委員会での発言等から、現在のNHKに対しては石原委員のアプローチがより相応しく、経営委員会への貢献度が高いと総合的に判断し、全員一致で石原委員を委員長に選出することに合意した」(6月28日経営委議事録)。そのうえで、候補者も含めた12人で結果を再確認し、全会一致で石原委員を経営委員会の委員長として選出した。

  他薦された1人が全会一致で決まるというこれまでの委員長選出と比べれば、異例の過程といえた。

  関係者によれば、もう1人の委員長候補は別の委員から推薦された委員長代行の本田勝彦・日本たばこ産業顧問(74)だったという。本田氏は15年3月から就いていた委員長代行を継続することになった。

  本田氏は13年11月に経営委員に就任した際は学生時代に安倍晋三首相の家庭教師をした経歴から、官邸との距離の近さを指摘する見方が強かった。しかし、実際には直言するタイプで、経営委でもその姿勢を示してきた。

  例えば、理事人事の任命を同意した今年4月12日の経営委では、「いまはNHKにとり大変大事なときでありますが、この時期に、理事の4名の方が退かれますが、任期が来たから全員退任ということは、普通はあまり考えられない人事ではないかと思います。もう1点、今回再任される木田(幸紀)さんは、昨年、退任されてN響の理事長になられました。関連団体の長から1年ちょっとで返すというのは、普通は考えられない」と、籾井会長に見解を求めた。

  一方、石原氏は3年前の経営委で籾井氏を会長に推薦した。このためか、会長就任後の籾井氏を厳しく追及することはなかった。浜田前委員長の後任に対する意欲を周囲は感じていた。

  当初、浜田前委員長は後任に本田氏を想定していたが、本田氏は固辞していたという。ところが、周りの説得を受け、委員長就任を引き受ける姿勢に転じたらしい。結果的に、委員長候補が一本化しない形となった。

  経営委としての最大の仕事は会長選びであり、その中心となる委員長の役割は大きい。籾井会長の評価を聞かれた石原氏は「籾井さんは誤解される発言が何回かあった。注意も3回した。こういったことがないよう求めていきたい」と述べる一方で、「収支の改善はきちんとやっている。

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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