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ネット保守はなぜ反SEALDsなのか(下)

動機が不明のときにマスコミなどの権力に反発するのは情報不足が原因か

杉浦由美子 ノンフィクションライター

安保法成立後に初めて開かれた「SEALDs KANSAI」の街頭活動に集まった人たち=2015年9月25日、大阪市北区のJR大阪駅前拡大安保法成立後に初めて開かれた「SEALDs KANSAI」の街頭活動に集まった人たち=2015年9月25日、大阪市北区のJR大阪駅前
  前回は、ネット保守がSEALDsを批判し、小保方晴子氏を擁護した理由について書いた。ネット保守は反権力であり、彼らが想定する権力は、政府や安倍政権ではなく、マスコミや大学教授などの知識人なのである。その権力から愛されるSEALDsに反発し、一方で、叩かれた小保方氏を庇う。後半では、ネット保守がこのような反権力を訴える理由として、彼らの情報不足を指摘したい。そして、その情報が足りなくなる原因は、報道のあり方にも問題があるのでは、ということを考えていきたい。

「注目を浴びたい」としか考えられない服装

  2時間サスペンスドラマの中で殺人事件が起きる。容疑者に動機がなければ、視聴者は「他に犯人がいるのでは?」と考え出す。

  実社会でもそうだろう。誰かがイレギュラーな行動をすれば、「動機」はなんだろうと、周囲は考える。

  STAP細胞論文騒動で、小保方氏への擁護があったのは、結局、「なぜ、不正をしたのか」が分からなかったからだろう。

  ネット保守は、世帯収入が高めの中年層......つまり、大人である。そういう彼らからみると、犯人は小保方氏、と言われても動機が見えないから、他に真犯人がいると想像したのではないか。
しかし、小保方氏が2ぶりに公式の場に姿を現した『婦人公論』(2016年6月14日号)を見れば、彼女の動機や目的は見えてくる。

  この記事での、小保方氏の服装が話題になった。短い丈の白いワンピース姿は大変なインパクトを与えた。仏壇の前で手を合わせる写真では、スカートの部分がレースなので、身体の線が見え、裸が透けて見えているように錯覚させる。まるで日活ロマンポルノを彷彿させるレトロなエロスを私は感じ、心の中で、「降参です」と呟いた。

  研究不正を「故意ではなかった」と訴える目的があって、雑誌に出るのなら、ダークカラーのスーツなどを着て、真面目で誠実なイメージをアピールするはずだ。しかし、それとは真逆の服装で来たのはなぜか? 目的が「単純に注目を浴びたいから」としか私には考えられない。

  「注目を浴びたい」という願望を満たす仕事として、研究者を目指す人というのは、実は、チラホラと存在するのだ。論文を発表し、注目を浴びれば、社会的な高い評価と知名度を得られるからだ。例のSTAP細胞論文もそうだが、論文は、組織の名前で発表するのではなく、小保方氏を筆頭とする研究者たちの名前で世に出て行く。自分の名前で、なにかを発表すること、そして、注目されることができる職業は、そうそうない。

 小保方氏は博士論文をコピーペーストで作り上げ、それが通ってしまった。そういう経験が積み重なると、不正をしてもバレないだろうと、感覚が麻痺していったのではないかとも推測できる。

さらにかみ砕いた報道が必要

 奥田愛基氏の行動もやはり大人であるネット保守層からすると、動機が見えない。デモを先導すれば、まず、企業への就職は不利になる。就活中だからといって、マスクをし、討論の場に登場したSEALDsのメンバーもいたぐらいだ。

  しかし、少なくとも奥田氏の場合、

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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