投票行動からうかがえる場の雰囲気に逆らわない「スクールカースト」の影響
2016年08月16日
朝日新聞の出口調査では、参議院選挙では18歳と19歳の半数が自公に入れたそうだ。都知事選挙でも10代の投票先は小池百合子氏35%、増田寛也氏30%とのことだ。20代でもほぼ同じ傾向が見られ、若者の保守化は以前から論じられていたが、それが裏付けられたとも言える。
就職率や求人倍率の上昇を若者が好感し、アベノミクスを評価しているという分析がある。
同時並行で起こっている非正規雇用率の増加や若年世代の貧困の問題を無視しているとすれば、それはそれで危険な話なのだが、私は心理学の立場から別の仮説を立てている。
それは、スクールカーストの影響だ。
スクールカーストというと聞きなれない言葉かもしれないが、昨年、関西教育学会では、シンポジウムのテーマになり、私も基調講演者とシンポジストとして呼ばれたのだが、教育界では相当なキーワードになっていることを実感した。
今から10年少し前くらいからネット上で用いられ、2006年に教育学者の本田由紀さんが、衆議院「青少年問題に関する特別委員会」で参考人として言及した言葉であるが、この言葉を、教育関係者に広めたのは、現代型のいじめの元凶として問題視した教育評論家の森口朗氏の著書『いじめの構造』だろう。
ただし、教室内で序列が形成されることは、欧米でも日本でも90年代初頭から報告されているし、99年の米コロンバイン高校銃乱射事件でも、その背景に、この序列があったといわれている。
森口氏による説明では、教室内が、人気者である1軍、マジョリティではあるがそのフォロワーのような位置づけの2軍、そして
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください