プリカや企業ポイントとは異なるゲーム内の仮想通貨
2016年09月13日
ゲームとは本来的にそれ自体で頭も気持ちもいっぱいになるコンテンツであり、公共空間を使ったゲームは身の危険が生じるのみならず、そこに地域情報など広告配信・販売促進的なビジネスを乗せることに限界があることは、メディアビジネスの数々の失敗事例の歴史が証明している。ここでは、「便乗商売は、あまりはしゃがないほうがいい」とだけ述べておく。
一連の報道の中で気になったことがあり、本稿を記すことにした。それはゲーム内の仮想通貨「ポケコイン」を金融庁が「通貨と認定した」という誤解を生じる見出し(いずれも詳細は事実関係が正しく書かれている)が複数社から出ていたことだ。はしゃぐ人が出ないように、事実関係を平易に記してみる。
仮想通貨という名前が過去クローズアップされたのは大きくは二度だろう。一つは2007年頃に話題となった、ネット上の仮想空間・セカンドライフ内の通貨「リンデンドル」、もう一つは2014年頃に話題となった、実際の購買取引に用いる仮想の決済ネットワーク「ビットコイン」だ。ポケコインは、このいずれとも大きく違う。
両者のファクトの説明は割愛するが、リンデンドルは運営主体リンデンラボ社の信用の下で米国ドルとの為替が認められていること、ビットコインは運営主体が実質的にない(取引参加者の合意によってのみ価値が維持されている)こと、が根本的に異なる。
ポケコインは、ナイアンティック社が運営するゲーム内で利用することが主目的なので、本来はゲームセンターのコインと同じく消費するだけで現金への換金不能な「モノ」、通貨ではなく骨董品の古銭のような存在である。モノである以上、そのポケコインに価値があるかどうかは運営主体のナイアンティック社の信用次第となる。
各国政府が法律の下で厳密に管理する「通貨」とはまったく別物、もしポケコインを現金に換金するならばそれは古物商取引(いわゆるチケット屋)という、これまた法律で厳密に管理された取引が必要、というのが法的位置づけである。この「モノ」として扱うという点は
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