2020年東京五輪の演出は庵野秀明氏に期待したい
2016年09月26日
そして何よりも、普段深層心理で抱えているのではないかという諦めをスカッと解決してくれたことに、私たち観客は溜飲を下げたに違いない。映画の中の「好きにすればいい」というキーワードには、自主規制がはびこる現実ではなかなか難しい。
低い投票率が示すまでもなく、政治離れや政治不信と言われて久しい中での政府にや自衛隊、各省庁が協同しての必死のゴジラ攻略作戦。その作戦は、アメリカの属国だとつぶやきながらも自国が編み出し、実行した作戦でもある。
これだけでも相当に多様な様子であるが、日本という国をそして国民を感動という言葉でひとつにするエッセンスはさらにある。日本の伝統へのオマージュである。ゴジラの動きを担ったのは狂言師の野村萬斎だ。放射能を撒き散らした後、停止する寸前のゴジラの動きはすり足、まさに狂言や歌舞伎の舞台で役者がみせるそれだった。これも庵野秀明の狙いだったろう。
10年以上前になるが、かつて庵野秀明にインタビューしたことがある。エヴァンゲリオンの中で、不安になるほどの静止画のシーンがいくつかあったのが気になっており、自身の作品においての“間”をどのように捉えているのか尋ねたのだ。曰く、予定調和になりたくない。こういうシーンではこうなるというお約束へのアンチテーゼであるということと、エヴァにとらせた間には歌舞伎でいうところの見得を切るような意識で
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