「介護や育児しながら仕事続けてる!」と、今こそ声を上げよう
2016年09月20日
女性も高齢者も輝ける「一億総活躍社会を目指す」と高らかに掲げる安倍総理。だが振り返ると私の周囲にいる女性達は昔から働きながら生き抜いてきた人ばかりだ。
母もパートをしながら3人の子供を育てていたし、母方の祖母は祖父を事故で亡くした後、田舎で1人暮らしをしながら70歳を過ぎても働き続けていた。父方の祖父も30代で亡くなってしまったため祖母は女手一つで父兄弟を育てあげた。私自身も介護と仕事を両立し、妹は母と同じく3人の子育てをしながら正社員として働いている。
我が家の家系に“専業主婦”の文字はなく女性が社会に出て働くことは当然のことだと思っていた。輝いているかは別として誰かに言われなくても社会の中ですでに活躍している。本当に輝かなければいけないのは女性なのか?
欧米では1970年代以降から使われはじめた「ワーク・ライフ・バランス」という言葉。日本でも遅ればせながら2007年に「ワーク・ライフ・バランス憲章」が策定され、具体的な数値目標がいくつも挙げられた。その一つに2020年までに“男性の育児休業取得率13%”という目標があった。
実際はどうなっているのか・・・・・・。2015年度に育児休業を取った男性はわずか2.65%!? これだけ育児のことが話題になっているにもかかわらず、前年度からわずか0.35ポイントしか増えていない。まだ4年あるが、誰の目から見ても実現不可能なことは明らかであり、まさに絵に描いた餅とはこのことである。
3%に満たない男性の育児休業取得率、さらに取得日数は数日から数週間である。“なんちゃって育休”と言われても仕方がない。もう忘れてしまった人が多いと思うが、単なるパフォーマンスに終わってしまった男性国会議員による育児休業取得の話題。男性が育児休業をとると宣言するだけでニュースになるこの国の未熟さに呆れているのは私だけではないはず。
「育児は女性の仕事」という固定観念に囚われている限り男性の育児休業への理解が進むわけはない。ワーク・ライフ・バランスが取れていない男性こそ輝けていないのではないだろうか。
「匿名である以上、実際本当に起こっているか確認しようがない」。保育園に落ちたお母さんの切実な訴えに対する安倍総理の答えに耳を疑った。匿名のブログだから書かれていることが本当なのか分からないということだったのだろう。この発言の揚げ足を取るつもりはない。待機児童の問題は共働きの家庭が増え始めた1990年代後半からこの国が抱える大きな問題なのである。
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