求められるライフスタイルに合った働き方と男性の変化
2016年09月21日
正直、私自身もアナウンサーの仕事をしながら母の介護をするのは厳しいと思っていたが、実際に働き始めると介護との両立に実は向いていることが分かった。何故ならアナウンサーは今から20年も前に「フレックスタイム」の働き方ができる仕事だったのだ。確かに勤務時間が不規則で大変な面もあったが、決まった時間に出社し退社する妹よりも柔軟に自分の時間を使うことができた。
それぞれ担当する番組によって勤務時間が違ってくるが、例えば私が早朝番組を担当していた時は、夜中2時前にタクシーが家に迎えに来る。その代わり遅くとも夕方には帰宅し、買い物や家族のご飯を作ることができ、母が寝ている間に仕事をこなすことで、日中は母と過ごす時間をつくることができた。
また全員が同じ時間に働いていないので「私だけが介護を理由に早く帰っている」という申し訳ない思いや罪悪感を持たなくて済んだことも大きかった。これからは全ての人が介護に直面するのだから申し訳ないと思う必要はない。介護と仕事の両立を実現するためにはどうしたらいいのか、その答えは明白である。一人ひとりのライフスタイルに合わせた“柔軟な働き方”を一日も早く導入することである。
しかし現実に目を向けると介護休業を取得している人はわずか3.2%。これは総務省が5年ごとに発表している就業構造基本調査によるもので2012年度の数字だ。最長で93日取得できる介護休業は要介護になった家族1人に1回しか取れず使い勝手が悪いと言われてきた。
来年1月から3回に分けて取得できるようになり、休業中の給付金も賃金の40%から67%に引き上げられるなど少し改善される。次回の調査結果が少しでも上がっていると期待したいが・・・・・・。
夢を持ち続けることが精神的な支えになったと綺麗事を言ってしまったが、経済的な安定が精神的な余裕に繋がったことは間違いない。介護が終わった後、当たり前のことだが親の年金はストップする。仕事を辞める前に本当に他に選択肢はないのか、今一度、立ち止まって考えて欲しい。
そしてまた別の機会に書きたいと思うが、介護で追い込まれる人の多くは女性ではなく男性であるということも付け加えておく。後を絶たない
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