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フェミニズムとは小池百合子のことである(下)

“女は一途でなくてはいけない”という偏見との戦い

杉浦由美子 ノンフィクションライター

築地市場の移転延期を発表する小池百合子東京都知事=2016年8月31日、東京都新宿区の都庁拡大築地市場の移転延期を発表する小池百合子東京都知事=2016年8月31日、東京都新宿区の都庁
 東京都知事選における小池百合子をみていて、私は前回の記事の冒頭で紹介したエッセイスト蝶々のインタビュー記事を思い出した。

 小池百合子という政治家はキチンとした政策を実現していない。しかし、メディアが過剰に小池を批判するのは、「二十年以上政治家をやってきて、”クールビズ”以外に実績もないくせに」という能力に対するものではない。小池は細川護熙、小沢一郎、小泉純一郎とボスを変え、党を乗り換えてきたことをバッシングされてきた。「権力者に媚びて、取り入り、自分を引き上げてもらってきた。下品だ」というものだ。

 ここにジェンダーの問題があるように思える。男性の政治家だって、党を何度も変えたり、ボスを変えたりしているではないか。男性こそ諸先輩に可愛がられる能力が必要とされる。男性の場合は能力とされることを、女性がやると「下品だ」と批判されるのか。女性は一途で清純でなくてはいけないという先入観があるように思えてならない。

 小池は権力者の傍で、政治の手法について学んでいった。そのことがよく分かったのが今回の都知事選であろう。

 都知事選告知直後に小池が訪れたのは八丈島だった。これは小沢一郎流の、選挙は小さな島から大きな街までくまなく回れというやり方だ。また、「旧態依然とした権力」と「戦う私」という対立構造をみせていくのは、小泉純一郎流だ。”都議会のドン”と言われる自民党東京都連幹事長(当時)の内田茂(77)を「抵抗勢力」としてまつりあげていく。マスコミもドンの黒歴史を取り上げ、このドンに自殺に追い込まれた都議の家族も登場し、まさに、悪い老中が大奥のベテランにやりこまれる時代劇のようだった。

  今回、小池百合子に票を投じた人たちに一番強かった気持ちは、「この時代劇の続きを見たい」ということだったのではないか。どうせ ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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