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ユナイテッドアローズが大きな賭けに出た

ネットショップ隆盛のなか、東京・六本木に最大規模の旗艦店をオープン

田中敏恵 文筆家

 最近ファッションがつまらない。そんなふうにつぶやく大人が周りに少なくない。かく言う自分もそのクチである。「ファッションではなく、スタイルを作っている」と言ったのは、かのココ・シャネルであるが、人生半ばを過ぎたら、やはり着るものには流行=ファッションだけではなくスタイルを閉じ込めたいと思う。

  しかし巷には「トレンド」という免罪符を振りかざした、似たようなアイテムばかりが並び、店に入ればその「トレンド」という枠に嵌めこむようなアドバイスばかりされる。服のコーディネート紹介はどの雑誌にもあふれているが、似たり寄ったりの「広告対応」か、無難な「通勤ファッション」に始終しているようでは、ファッションの美学を感じることは難しいし、高揚することだってできない。

  そう、ファッションにおいて必要なのは高揚である。しかしながら、かつてその高揚を追いかけ続けた世代を満足させることを店舗という供給側ができなくなってきているのが現状である。

  もはやファッションに高揚はないのか。

  そんな状況の中、賭けともいえるショップが9月22日にオープンした。ユナイテッドアローズ六本木ヒルズ店だ。2フロア総面積は427坪という最大規模の旗艦店。ZOZOタウンに代表されるような、ファッションをネットショップで買うことがもはや当たり前になっている今、巨大面積の店舗をオープンさせるのは大きな冒険といえるだろう。

東京・原宿のユニテッドアローズ本店=2003年拡大東京・原宿のユニテッドアローズ本店=2003年
  ユナイテッドアローズは1989年に重松理氏によって設立。明治通りの渋谷と原宿の中間あたりに第1号店をオープンさせた。その後、拠点を神宮前に移し、メンズ、レディス、ライフスタイルなどのジャンルにおいて洋服や小物のセレクト商品の販売を中心に、オリジナルの企画販売も行っており、この販売形態企業では東証1部にも上場している業界トップ企業。日本を代表する小売店でありファッションレーベルであり、90年代より日本のファッションを牽引してきた存在だ。この六本木に生まれた新店は、そんなユナイテッドアローズの矜持の現れのような気がするのだ。

  この店舗をアローズの矜持と感じたのは、その商品構成と店舗デザインである。まずはエントランスフロアにあるレディス。入るとすぐに ・・・ログインして読む
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筆者

田中敏恵

田中敏恵(たなか・としえ) 文筆家

1969年生まれ。文芸誌編集を経てフリーランスに。文芸、食、旅、建築などライフスタイル分野の記事や、国内外で活躍する著名人たちへのインタビューを雑誌や新聞に寄稿。2006年より取材を開始したブータン王国に関する講演活動も行う。著書に『ブータン王室はなぜこんなに愛されるのか~心の中に龍を育てる王国のすべて』、共著に『未踏 あら輝~日本一予約の取れない鮨屋』。

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