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Bリーグ成功のカギはプロ意識の徹底とファン拡大

興行面では成功もスター不在で開幕戦の視聴率は5.3%、まだ低い選手の年俸

松瀬学 ノンフィクションライター

琉球ゴールデンキングスとの開幕戦第4クオーター、シュートをブロックするアルバルク東京のギレンウォーター(33)=2016年9月22日、東京・代々木第1体育館拡大琉球ゴールデンキングスとの開幕戦第4クオーター、シュートをブロックするアルバルク東京のギレンウォーター(33)=2016年9月22日、東京・代々木第1体育館
 ついにバスケットボール男子の新しいプロリーグ『Bリーグ』が幕を開けた。分裂していた2つのリーグが統合され、プロ野球、サッカーJリーグに次ぐ、球技では日本で3番目のプロリーグ誕生となる。バスケ界にとっての成功のポイントは「強化」「資金」「普及」の3つがバランスよく発展していくかどうか。まずは選手のプロ意識の徹底と成長、ファン拡大、年俸アップがかぎを握ることになる。

  記念すべき開幕カードは、昨季のナショナルバスケットボールリーグ(NBL)で勝率1位だったアルバルク東京(A東京=旧トヨタ自動車東京)と、bjリーグを4度制した琉球ゴールデンキングスが戦った。試合はA東京が連勝し、会場の東京・国立代々木競技場には満員の「9132人」「9461人」が詰めかけた。興行的にはうまくいった。

  開幕戦(9月22日)はフジテレビ系でゴールデンタイムに生中継されたが、平均視聴率は5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と意外と伸びなかった。日本バスケットボール協会の川淵三郎エグゼクティブアドバイザーが期待した「15%」は無理としても、ふたケタはほしいところだったが…。ちなみに1993年のサッカーJリーグの開幕戦の視聴率はなんと32.4%だった。

  確かに時代の違い、メディア環境の違いはある。今回はNHK-BSの生中継のほか、スマホでネット中継されていたこともあるだろう。が、視聴率不振の一番の理由はスター不在の認知不足である。それゆえ、今後、いかに選手の力量アップを図り、選手の人気をどう向上させていくのか。コートの充実(試合の質)、価値をあげていくのかが、Bリーグの課題となる。

  とくにファン開拓のターゲットは若者と女性である。だからこそ、革新的なLEDコートやコンピューターグラフィックス(CG)による演出を導入し、エンターテインメント性を高めている。トップパートナーのソフトバンクが全試合をライブ配信するだけでなく、富士通ともパートナー契約を結び、ファンへタイムリーな情報を提供するICT(情報通信技術)化も図っていく。

  ただ、何といっても観客をアリーナに呼び込むためには、「商品」である試合の質を高めることが一番である。正直、開幕カードはシュートミスなどプレーの精度に欠けた。川淵さんは開幕日、ファンにこう訴えた。

  「このBリーグを世界トップクラスのリーグに育ててください。選手を強化し、世界で一番つよいNBA(米プロバスケットボール協会)にいつも5人ぐらい送り込んでいけるようになったときに初めて、Bリーグが世界に冠たるリーグになります。そのためにはパワーとエネルギーがいります。これからがスタートです。厳しい目でBリーグの成長を見守っていただきたいと思います」

  つまりは、世界に通用する選手の排出である。球技の人気を考えると、どうしても日本代表が強くないと盛り上がらない。日本代表男子は、1976年モントリオール大会以来、五輪から遠ざかっている。

  川淵さんは会見で、こうも言った。

  「選手自身が、世界レベルに追いつくんだと思って、技術レベルを上げていかないといけない。(日本代表が)どういう風に急角度でレベルアップできるかが大事です」

  チームの人気の向上でいえば、『地域密着』もキーワードとなる。大河正明チェアマンはこう、言い切った。

  「日本代表がワールドカップで活躍しても、リーグ戦のチームそのものが、地域に根差したクラブづくりをし、しっかりした基盤を持っていないと人気は落ちていきます。地元に根差して、たくさんのお客さんを集めて、いい試合をしてもらいたい」

  Bリーグは1、2部、各18チームで構成されている。企業をバックに持つ元NBLのチームと、地域密着を目指してきたプロの元bjリーグのチームが混在している。クラブの資金力は元NBLのチームが上で、大型補強を経て戦力も相対的に優位に立つ。

  選手の待遇をみれば、最低年俸(B1=300万円、B2=240万円)は決められているが ・・・ログインして読む
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筆者

松瀬学

松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター

ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。

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