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振付師J・バトル、羽生結弦の新SPを語る

「世界最高得点の更新はできると思う」

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

 振付師ジェフリー・バトルが9月13日、トロントのクリケット・クラブで会見を行い、羽生結弦の新しいSP(ショート・プログラム)について、様々な思いを語った。

 2008年男子シングル世界選手権チャンピオンであるバトルは、頂点に立った半年後に競技からの引退を宣言。アイスショーに出演する傍ら、本格的に振付師として活動をはじめた。

 現役時代から特に表現力を高く評価されていたバトルだが、羽生結弦のプログラムを手がけたのは2012年に公開したゲイリー・ムーアの「パリの散歩道」が最初だった。当時の歴代SP最高スコアを何度も更新させ、羽生のソチ五輪金メダルへの鍵ともなった作品である。

「新しいものに挑戦したい」と希望した羽生

オーサー・コーチ(右)と、振付師のバトル氏(左)と話す羽生結弦=6日、カナダ・トロント 2015拡大ブライアン・オーサー・コーチ(右)、振付師のジェフリーバトル氏(左)と話す羽生結弦=2015年、カナダ・トロントで
 今シーズンの羽生の新SP、プリンスの「レッツ・ゴー・クレイジー」について、バトルはこう語り始めた。

 「今シーズンは、オリンピック前の最後のシーズンということで、何か新しいことを試したり、タブーに挑戦したりするのに良いタイミングだと思いました」とバトル。

 昨(2015-16)シーズンとその前の2年、羽生が滑ったSP、ショパンのバラード第1番もバトルによる作品だった。羽生は昨シーズンのNHK杯とGP(グランプリ)ファイナルの二度、この作品を滑って世界歴代スコアを更新させている。

 だが今年はまた違ったイメージのものを本人が希望した。

 「曲を選ぶ前に、ユヅと話し合いをして、どういった方向に行きたいのか、クラシック系に留まりたいのか、という話をしました。『何かこれまでのものとは違うものに挑戦してみたい』」という彼に、ぼくは同意したんです」

プリンスの音楽に決めた理由

 この間、さまざまな音楽を聴いてみたが、4月に亡くなったアーティスト、プリンスの音楽を聴いたとき、テンポも気に入り、羽生の滑りに合っているのではないかと思ったのだという。

 「クレイジーなことをやってみようというコンセプトだったので、タイトルもぴったりだった。ユヅもブライアン(オーサー・コーチ)も、このアイディアをすぐに気に入ってくれました」

 この振付のコンセプトは、

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

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