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クルーズ船は訪日外国人観光の切り札か(下)

インフラ整備は道半ば、観光業の約6割は非正規雇用

田中敏恵 文筆家

名古屋港に来港した大型クルーズ船の乗客たち=2016年6月、名古屋市港区錦上埠頭名古屋港に来港した大型クルーズ船の乗客たち=2016年6月、名古屋市港区錦上埠頭
 インバウンド(訪日外国人客)政策は、安倍政権においての大きな柱である。その取り組みの中心にいるのが日本政府観光局(JNTO)だ。

  「インバウンド政策において、実は日本は先駆的な国であり明治維新後、パリ万博を視察した渋沢栄一らが外国人誘客を推し進めたという過去があります。しかしながら、その後は高度経済成長やバブル景気など、日本がインバウンドに力を注ぐよりも、国内の経済成長に舵を取っていきました。小泉首相が2003年に観光立国を唱えましたが、本気度が足りなかった。インバウンドが急激に伸びたのは2011年からで、2015年に初めてインバウンドがアウトバウンドを上まわります。そんな状況ですから、確かに観光インフラの整備はまだまだ道半ばなのです。現在は表記やwifiなどは2020年に向けて優先順位を決めながら進めています」とJNTOの山崎道徳理事は言う。

  しかし問題点は観光インフラの整備だけではない。実は、観光業に従事する人の約6割が非正規雇用なのだという。おもてなし大国(なはずの)日本の観光を担うのはプロフェッショナルな達人ではなく、非正規雇用の人たちだったのだ。どうやら問題はなかなかに複雑で、ずいぶんと時間がかかりそう。インバウンドへの対策はクルーズ旅に関わる事柄だけに注力出来ない状況のようだ。

  「経済効果という観点からいうと、やはり飲食と宿泊を客船でするクルーズ観光客よりも

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