松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター
ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
欧州遠征した新生ラグビー日本代表の方向性は確認されたが目立った当たり負け
ラグビーの新生・日本代表は1勝2敗で欧州遠征を終えた。これでジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)の就任1年目の成績は1勝3敗となった。日本代表の進むべき方向性が確認されるなどの収穫があった半面、個々のフィジカル不足などの課題も浮き彫りとなった。
日本(世界ランキング11位=11月29日時点)は国内でアルゼンチン(同9位)に20-54で完敗した後、欧州遠征ではジョージア(同12位)に28-22で逆転勝ちしたが、ウェールズ(同5位)には30-33で惜敗、最終戦ではフィジー(同10位)に25-38で敗れた。フィジー戦では、相手のシンビン(10分間の一時退場)、レッドカード(退場)で、80分間中60分間でひとり多いという数的優位な状況を生かせなかった。
エディー・ジョーンズ前HCの後を受け、ジョセフ新HCが指揮をとって4試合。新HCはこう、総括した。
「選手の成長を感じられた。今後につながる遠征だったと思う。新しい選手の中からタレントを持った選手を発掘することができた。遠征で学んだことは、しっかり準備をして、それぞれが自分の仕事をしたら、このレベルで競争することができるということ。毎週、試合があっても、同じパフォーマンスができる、同じ強度を持てるということが必要だと感じた」(日本協会・メディアリリース)
ジョセフHCの言葉通り、収穫はなんといっても日本代表コアメンバーの力量を確認できたことだろう。よくボールに絡んだナンバー8アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)や、欧州遠征で3トライと気を吐いたフルバックの松島幸太朗(サントリー)ら、昨年のワールドカップ(W杯)組の力は安定していた。
ツアーメンバー32人中17名が初出場だった。FWのヘル・ウヴェ(ヤマハ発動機)、布巻峻介(パナソニック)、松橋周平(リコー)は使えそうだ。途中で負傷離脱したウイングのレメキ・ロマノ・ラヴァ(ホンダ)も活躍した。