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2017年はどうなる? 中学受験の現在(上)

ミッションスクールが嫌われるのは本当なのか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

  2017年度中学受験が近づいてきた。受験生を抱える家庭はどこもラストスパートをかける時期だ。3回に分けて、現在の中学受験を見ていきたい。1回目では昨今囁かれる「ミッションスクールが敬遠される」という説が、実際、どうなのかを再検証したい。私が専門とする女子教育に特化して考えてみよう。

無宗教系の女子校の台頭

 10年ひと昔というが、実際、2007年度と2017年度予想の偏差値を見比べると、まったく違う勢力図が表れている。日能研が公表する2007年(結果R4)と2017年(予想R4)を参考に説明しよう。
目立つのは無宗教系の新鋭女子校の台頭だ。

  たとえば、御三家の滑り止め(第2志望)が集中する試験日2月2日の予想偏差値では、白百合学園より吉祥女子や洗足学園が上にくる。

塾関係者らが激励するなか、入試会場に続々と入る受験生=2016年2月1日、東京都武蔵野市の吉祥女子中学校拡大塾関係者らが激励するなか、入試会場に続々と入る受験生=2016年2月1日、東京都武蔵野市の吉祥女子中学校
  かつてならば、御三家の次に位置する女子進学校は白百合や光塩女子学院といったカトリック女子校だったが、現在は吉祥女子や洗足がその座を占めている。

  これらの動きをみて、私も過去の記事の中で「宗教色が敬遠され、ミッションスクール離れがある」と述べた。オウム真理教の事件以来、日本人は宗教に対して懐疑的になっていて、現在も宗教と政治の問題がクローズアップされている。そういう流れの中で、宗教色を持つ学校全体が疎まれるという動きがあるという説明を、関係者たちから幾度となく受けてきた。

  だが、ここにきて、「ミッションスクール離れ」という説に疑問もでてきた。

  たとえば、高輪台の頌栄女子学院は、2007年では日能研R4結果が53だったが、2017年度予想では60となっている(2月1日)。つまり、7ポイントもあげているのだ。プロテスタント校であり、公式サイトの教育方針にも「本学院はキリスト教の学校で」と明記している。

  また、実は先に挙げた白百合をはじめ、大半のミッションスクールが偏差値を下げていない。ただ、ミッションスクールの安定感よりも、無宗教の新鋭女子校の伸び方が目立つのだ。2月2日だと白百合は2007年も2017年予想も同じく61だが、吉祥女子は2007年が57で2017年予想は64。洗足は55から62。それぞれ大きくポイントをあげている。

お弁当持参というハードル

  偏差値をあげている学校の特徴はなにかといえば、ミッションスクールか否か関係なしに、結局、いかに保護者のニーズをくみ取っているか、のように思える。今、私立中高一貫校に娘を入れようとする家庭の多くは共稼ぎ世帯となっている。母親が働いて、娘の学費を稼ぐわけだ。そうなると、母親たちは仕事と両立できる学校を選択していく。

  私立中学へ子供を入れる時のハードルとして「お弁当問題」がある。いわゆる伝統校が「お弁当持参」という志向が強いのは、「母親は愛情をこめて娘の昼食を作るべき」という思想があったから、と聞いた。それに十分に対応できる余裕がある母親は減少しているのではないか。

  偏差値が伸びている学校には学食やカフェテリアがあり、母親が寝坊しお弁当を作れなくても、娘は昼食に困らない。このあたりをきめ細かくピーアールできるかどうかで、差が出てくるのではないだろうか。

  あるミッションスクール女子中学に、娘を入学させた母親が ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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