杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
二枚目俳優はなぜゲイであることを公にできないのか
『FRIDAY』(講談社)による俳優、成宮寛貴の薬物使用疑惑記事では、成宮がコカインを吸引したように連想させる写真が掲載された。しかし、ネット上でより大きく話題になったのは、記者に直撃された時の成宮の私服姿写真だった。
女らしいデザインのストールを首から掛け、エルメスの人気ハンドバッグ、黒いバーキンを手に持っていた。見覚えがあるデザインのバッグだと思ったら、以前取材したカリスマキャバクラ嬢が手にしていたバーキンと色違いだった。200万円ぐらいすると聞いた。小ぶりで軽く、男性が愛用するデザインには見えない。
人気俳優が、フェミニンすぎる私服姿を見せたのだから、ネットは大騒ぎだ。むろん、それはマスメディアにも波及していくだろう。成宮は『相棒』で刑事役を演じたのちは、美少年スターから、本格的な俳優にステップアップし、オファーも殺到していた。モッズコートなどの男らしい服もさっ爽と着こなし、凜々しい姿も見せていた。
そのテレビドラマでの男前な姿と、バーキンを持つ私服写真の落差は衝撃的だった。みな面白がったが、一方で「プライベートではバーキンを持っちゃうのに、ドラマではあんなに男っぽいんだから、役者としてすごい能力じゃないか、かっこいいな」という尊敬の念も持ったはずだ。バーキンを持つ成宮を話題にした人たちと、彼の引退で悲しんだ人たちはリンクしているようにも思える。
しかし、成宮にとっては、耐えられない痛手だったのかもしれない。その理由が声優、三ツ矢雄二のカムアウトに関するコメントで見えてくる。三ツ矢はこうも話しているのだ。「役者さんは自分がゲイだと告白していると
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