石川温(いしかわ・つつむ) ジャーナリスト
1975年生まれ。中央大学商学部卒業後、98年、日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。月刊誌『日経TRENDY』の編集記者として通信、自動車、ホテル、ヒット商品などを取材。2003年に独立後、携帯電話、スマートフォン業界を幅広く取材。近著に『スティーブ・ジョブズ 奇跡のスマホ戦略』がある。有料メルマガ『スマホ業界新聞』を配信中。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
直感的だった操作性がわかりにくく、自らを再定義する時期
2007年、アップルのスティーブ・ジョブズCEOが「携帯電話を再定義する」と発表したiPhoneが生まれて、10年が経過しました。当時、パソコン的に使える携帯電話がいくつもありましたが、いずれもペン入力やキーボードが内蔵されているなど、難しい操作性により、一部のマニアしか使わないような端末でした。
スティーブ・ジョブズのiPhoneが凄かったのは、タッチパネルにより、指一本で操作できる使い勝手を実現したことでした。これにより、幅広い年齢層が、携帯電話でインターネットに触れることができるようになったのです。その後、iPhoneの功績により、スマホが世界中に普及したのは周知の事実でしょう。
2007年、私は、iPhoneがどういった端末に仕上がっているのか、どうしても気になり、アメリカで発売された日に、わざわざハワイに買い出しに行きました。アラモアナショッピングセンターにあるアップルストアの行列に並び、なんとか購入できたのですが、アメリカの携帯電話会社と契約作業をするのに、とても苦労させられたのを昨日のことのように覚えています。日本でソフトバンクがiPhone 3Gを扱い始める1年も前の話です。
早速、アメリカで手に入れたiPhoneを持ち帰国。その後、日本のケータイメーカーの関係者に触ってもらう機会を得ました。当時は、いまで言うガラケーが全盛の時代。しかも、各メーカーはキャリアのオーダーに沿ってケータイを開発していました。
メーカーの開発者たちからは「タッチパネルは長い爪の女性には使いづらそう」とか「アップルは(キャリアからのしがらみなんてなく)楽しんでiPhoneを開発していそう」といった声が寄せられました。
そんななか、ある一人は「いまのケータイは、何度もリフォームした中古住宅のよう。機能が追加されていて便利だが、使い勝手は悪い。その点、iPhoneはデザイナーズ住宅でおしゃれでかっこいい。更地にイチからデザインされており、無駄がなく、住み心地は最高なはず」と指摘しました。
当時のケータイは
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