補助金を握る文科省の顔色を見るようになり、自治を失った大学
2017年03月01日
この中で、文部科学省が改正国家公務員法に違反する「天下り」の組織的な斡旋を行っていたことが明らかにされ、慶応大学でも新たな疑惑が発覚した。
私は、このような事態にはまったく驚かない。
むしろ私立だから、チクる人間が現れたのではないかとさえ思っている。
ご存知の方も少なくないと思うが、現在は、旧来型の国立大学は存在しない。2004年からすべての国立大学は、実は、国立大学法人という名の独立法人である。
一般の私立大学より授業料が安くできるのは、国からの補助金があるからだが、海外のように資産運用を行ったり、いろいろな会社をスポンサーにして研究費を集めたり、あるいは富裕者が寄付をしたりという文化がほとんどない日本では、大学の経営は、文科省からの補助金が生命線を握る。文科省にへそを曲げられて補助金をもらえなくなれば、授業料をあげてもやってられる大学を除けば、研究費どころか職員の給料も出せなくなる。
現実にそれ以降は、予算を使って大学を脅すということを当たり前に行っている。
たとえば、2014年12月22日に、中央教育審議会による「新しい時代にふさわしい高大接続の実施に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」という答申が出されたが、既存のセンター試験を廃止して新テストを導入することと、すべての国立大学の入学試験を、実質AO入試化するという方針が打ち出されている。
この中で、各大学のアドミッション・ポリシーの策定を法令上位置づけるように提言しているし、主体的に改革に取り組む大学にはインセンティブとして財政的措置を検討するように明言されている。表向きは、改革を行った学校に補助金を足すように見えるが、日本の教育政策として、大学全体の予算を増やすようには思えないので、入試改革をやらない大学は補助金を減らされることになる。おそらく
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