小田原市ジャンパー問題の背景を探る
2017年02月24日
ランチタイムに行きつけのラーメン屋に行こうと思ったが、満員で入れなかったので、仕方なく、入ったことのない隣のラーメン屋を試してみることにした。その店の名前は「RAT」。「RATってネズミだろ?ラーメン屋にそんな名前をつけるなんて、どういう神経なんだ?」と同僚と噂をしていた店である。
のれんをくぐるなり、店員が鋭い目線でにらんできたので、瞬間で「失敗した」と確信した。まるで警官が犯人を捜しているようなまなざしである。
視線を合わさないように、一種類しかないラーメンを注文するが、店員の来ているジャンパーのエンブレムに「ラーメン屋なめんな」という文字があるのが見える。背中には「我々は正義である。無銭飲食しようとするなら、あえて言おう。カスであると!」と書かれているようだ。この店で過去に無銭飲食をした客がいて、神経質になっているのかとも思うが、すべての客を疑っているようで気分が悪い。
ラーメンが出てきたが、無銭飲食をしないように店員がずっと見張っているので、味わうどころではない。よく見ると、どんぶりや箸入れにも「ラーメン店・悪撲滅チーム」の文字が書いてある。どうやら、「RAT」というのは「ラーメン店・悪撲滅チーム」の頭文字を取ったようだ。
ラーメン屋の仕事は美味しいラーメンを提供することのはずだが、この店にとっては無銭飲食を撲滅することが最優先になってしまっている。本末転倒とはまさにこのことだ。そう思うと、馬鹿馬鹿しくなってきたので、ラーメンをほとんど残して、代金を置き、逃げるように店を出た。この店がつぶれるのも時間の問題だろう。
以上は架空のラーメン屋の話だが、似たようなことを10年間、行っていた職場が小田原市に存在する。しかも、こちらは福祉現場で働く公務員の職場である。
ラーメン屋の客は「RAT」に行かず、他の店に行けばいいだけの話だが、生活に困っている人は「SHAT」という服を着た公務員のいる窓口に相談に行ったり、その服を着た担当者が自分の家を訪問するのを受け入れないと、生きていけなくなる。小田原市の説明によると、10年の間にこのジャンパーに関する市民からの苦情は1件もなかったそうだが、生活保護の利用者は気づいていても、担当者が怖くて言えなかったのではないかと、私は推察している。
このジャンパー問題が発覚してからの小田原市の対応は早かった。
1月17日に福祉健康部長らがジャンパー製作の事実を公表した記者会見で謝罪を行い、担当職員らに厳重注意を行った上で、ジャンパーの使用を禁止したことを公表した。その後、市のホームページに、加藤憲一市長の名前で「生活保護における不適切な行為についてのお詫び」と題した文書が掲載され、
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