プロリーグ誕生25周年、夢の60歳現役へ新たなチャレンジがスタート
2017年03月03日
実にカズらしいセレモニーだった。
25年間Jリーグを、日本サッカー界をけん引し、尚も加速しながら走り続ける50歳には、ホテルのシャンデリアやひな壇、金屏風より戦いを刻み続けるピッチが似合った。
2014年の白、15年の赤、昨年の青に続き何色のスーツかと予想しながら待っていた記者たちからどよめきと大きな拍手が沸く。ピンクのスーツに黒のシャツ、贈られた真紅のバラを胸に記念撮影が始まると、「試合の後にこんな事やってたら、絶対おかしいでしょ」とユーモアたっぷりに苦笑し、報道陣からも大きな笑い声が響いた。
「ケーキカットして食べて下さーい」
カメラマンから殺到するリクエストにカズはケーキの端に一切れ分のナイフを入れると皿に乗せた。そうして一瞬考えたようにクリームのない苺を先ず口に入れ、ケーキはほんの小さく一口だけ運んだ。カメラマンたちの「もう一回お願いします!」の声が届いていたのかは不明だ。
しかし誰もが望むリクエストに最大限応えようとするエンタテイナーとしての姿と、かつて、麺ものの具ひとつさえ、体に良いか悪いかを栄養士に確認したという、プロとしての食への徹底した厳しい姿勢両方がこんな瞬間にふとのぞく。プロになって32年間毎日毎日、1分1秒、カズはそうやって「何がプロとしての自分に最適か」を選択して50歳での現役を迎えたのだと、こうした様子に改めて知る。
開幕スタメンで後半までプレーしたのも、実際にはまだスポーツニュースが話題にしていない昨年11月のキャンプインから準備した結果である。
クラブとして史上初の前売り完売に1万3224人の観客で50歳にちなんで「50円」の大入り袋も出された。初のピッチ誕生会にカズは広報ともっとも大事な前提も話し合っていた。自分が得点しても、もし負けたらセレモニーはしない、と。ユーモアと、50歳の現役であり続ける厳しさ両方が浮き彫りになったセレモニーである。
Jリーグがスタートした当時、歴史あるプロ野球のように、サッカー選手たちがどう現役を続け、どんな形でセカンドキャリアと呼ばれる引退に向き合うのか、そういったプランは全く確立されていなかった。そんな混沌とした時代から
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