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JOCが取り組む国際人材養成セミナーが大盛況

メダルだけでも、施設だけでもなく、2020年東京で人材というレガシーも生むか

増島みどり スポーツライター

 金曜の夜は、誰もが1週間を無事に終えた解放感に包まれ、休日に向け楽しみを募らせる時間帯だろう。しかし彼らは、日本スポーツ強化の総本山ともいえる「ナショナル・トレーニングセンター」(通称NTC)にキャリーバッグを引きながら日曜夜まで続く「強化合宿」に続々とやって来る。メダルを狙うトップアスリートならばそれも普通の光景だが、彼らは選手ではない。

  多くは各競技団体の職員であり、様々な立場から競技運営、育成や強化、事業に関わる、いわば選手をサポートする側の関係者だ。JOC(日本オリンピック委員会)が主催し2011年にスタートさせた「国際人養成アカデミー」(JISLA=JOC International Sports Leader Academy)の受講生たちは、金曜夜7時に大量の資料をバッグに詰めてNTCに集合し、日曜夜の解散まで2泊、アスリートばりの厳しい合宿を全8週間行う。

  講義の多くは英語で、しかも机上ではなく、スポーツ政策、マーケティングからパーティーを催すための各種プロトコール(式典)やマナー、さらに役員選挙やオリンピック招致活動におけるプレゼンテーションまでどう行うかの実践を主にする。本講義に進める語学力、理解力の判定にも3カ月ほどを要するほど厳格に判定されるため、各国のスポーツ関係者からも高評価と注目を浴びる独自のプログラムだ(受講費は基本10万円)。

  スクールマスター(全4人)となって3年目となる、JOC国際専門部会員の上治丈太郎氏はスポーツ界の「国際人」をこう定義する。

  「スポーツの国際舞台で築かれる‘輪’の中心に入り、交渉し、主張し、まとめ、日本の立場を向上させる。同時に世界のスポーツ発展をリードできる人材です。東京まで、かつてない数と規模、頻度で国際大会や重要な会議が日本で行われる。そのために、競技力と並び、組織力のパワーアップこそ重要な課題となります」

  煩雑な仕事に追われる競技団体だが、今年の受講希望者は定員の30名ほどを大幅に上回る55人に(昨年も52人が受講)。メダル獲得を掲げるならば、まずは組織の強化から。日本のスポーツ界は根底から大きく変わろうとしている。

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