不穏当な事態が起これば捜査機関に迅速に通報するのが有効なストーカー対策
2017年04月13日
この「小金井市女子大生ストーカー刺傷事件」の裁判では、法廷で被害者が「犯人を野放しにしてはいけない」と証言すると、その場で被告人(後に控訴を取り下げ判決が確定)が「じゃあ殺せよ」と声を荒らげるなど、犯行後も被害者に恐怖を与えた事件として、記憶に残っている方も多いのではないだろうか。
このようなストーカー犯罪は、1999年に埼玉県で発生した「桶川ストーカー殺人事件」を契機に議員立法された「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(ストーカー規制法)によって、対策がとられるようになった。
しかし、このストーカー規制法には不備があり、2012年に神奈川県で起きた「逗子ストーカー殺人事件」を契機に、それまでの「つきまとい行為」の対象が、連続電話や連続FAXだったのに加え、連続メールもその対象となる改正案が成立し、施行されるに至っている。
このように、新たな問題が起きてから対応するという状況のなかで、先の「小金井市女子大生ストーカー刺傷事件」が発生した。そこで今度は、TwitterやLINEなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等におけるメッセージの連続送信や、個人のブログへの執拗な書き込みを「つきまとい行為」に追加。罰則を強化し、非親告罪化するなどの改正案が17年1月から施行されている(一部は17年6月までに施行)。
こうした後手後手の対応についてはさておき、近年、ストーカー行為の果てに犯罪に至るという事件を耳にすることが多くなった。
実際のところ、ストーカー事案の認知件数は増えており、警察庁の統計によれば、16年の認知件数は、昨年よりも769件増えた2万2737件となっている。
もっとも、この数字については単純に件数が増えたというだけでなく、昨今の事件報道によってストーカーについての認識が広まり、初期段階での相談件数が増えたことも起因していることを考慮する必要がある。
しかし同時に、いまもなお一定数のストーカー事案が認知され、ストーカー規制法に基づく警告や禁止命令などの行政処分が数多く下されていることは、紛れもない事実だ。
たとえば
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