インターネット広告の隆盛がラジオの必要性を後押し、同時配信のradikoが定着
2017年05月10日
ラジオ。オールドメディアの象徴のように言われ、主たる収入源である広告市場規模をインターネット広告に逆転されてすでに13年が経過、両者の差は10倍となった。ラジオを聞いていた若者はいま中高年となり、現代の若者はクルマを運転しなくなり、そのクルマでもスマホで音楽を聴くようになった。
しかし意外にも、ビジネスの規模はへこんでいない。以下、毎年2月頃に電通が発表する「日本の広告費」の数値で述べる。2000年(1~12月)から13年連続で続いていた市場規模の減少は、2014年に前年比プラス2.3%、直近の2016年にプラス2.5%の反転を見せており、底を打ったとも言い切れないが奈落の底に落ちつつあるわけでもない。
広告市場全体が2014年で前年比プラス2.9%、2016年でプラス1.9%なので、2016年について言えばラジオ広告市場の伸びは若干ながら平均をも上回っている。
広告市場なので、NHKラジオは含まれておらず、番組「ラジオ深夜便」に象徴されるような極端な高齢者の市場は反映されていない数値だ。
現在のインターネット広告市場1.31兆円(2016年)は検索連動(検索画面の冒頭に出てくるもの)を中心とした「運用型広告」が伝統的なバナー(看板)広告を上回っており、ラジオを聞いての検索結果はこちらの数値にカウントされている。
それでもなおラジオ広告(本来のラジオ放送で流されている広告)が市場平均を上回っている状況は何か。一つは広告市場全体の持ち直し、一つはラジオ出稿の多い業界の業績持ち直し、一つはインターネット配信という宣伝効果、そしてもう一つは広告メッセージに対する広告主の考え方の変化、と言える。
広告主の広告出稿費用は、かなり忠実に、GDPの伸び縮みに連動する。GDPの6割を占める消費経済で競争優位を作るべく、広告主は敏感に出稿費用を増減させる。
いつも景気に不満な街角の声、弱者救済の報道編集の声よりも、この数字のほうが消費生活全体を的確に反映している。ラジオの主要広告主は
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