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自由で許容力のある街めざすLGBT支援策(下)

映画やテレビドラマにゲイのカップルが自然に組み込まれてきたという変化

田中敏恵 文筆家

高校生(右から2人目)の両親は同性パートナーだ。母、母のパートナー、その娘と語らいあんがら、笑顔で散歩した=2016年12月、東京都内高校生(右から2人目)の両親は同性パートナーだ。母、母のパートナー、その娘と語らいあんがら、笑顔で散歩した=2016年12月、東京都内
 ここ最近、日本での性的マイノリティたちの描かれ方に変化があるという。

 昨年公開の東宝映画『怒り』、日本テレビドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(校閲ガール)、そしてTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(逃げ恥)。どれもゲイのカップルが登場するが、そこで繰り広げられる出来事は切なさありトキメキや戸惑いもあり、男性同士の恋愛が物語の中に特別な形としてあるのではなく、自然に組み込まれていた。

  ステレオタイプの同性愛者を登場させて作品内のスパイスにしようという安易な手法ではないのである。たとえば『怒り』で自分のことを疑うような言葉を投げる妻夫木聡に、綾野剛は「疑ってるんじゃなくて、信じてんだろ」と返し、妻夫木は何も言えなくなる。こんな何気ないシーンひとつとっても恋愛におけるリアルな様が、公開当時はSNSなどを介して感情移入したことを多く綴っていた。

  同性のカップルだけでなく多くの人が共感出来たのではないだろうか。『怒り』という作品のテーマであった人を信じる、ということ。妻夫木と綾野はその一部を担っていたが、同時にこのふたりは映画の中の純愛という要素も担っていた。

  『校閲ガール』、『逃げ恥』というドラマ2編でも、同性愛のカップルは言葉遣いやしぐさが大げさなイロモノとしてではなく、恋に悩み仕事に奔走する共感できる大人として登場する。男性同士であるが恋愛の描かれ方は自然でリアルであったこの3つの作品に、共通項がもうひとつあるとしたら、視聴者からの支持も良かったことである。『逃げ恥』の大ヒットだけでなく、『怒り』は日本アカデミー賞最多ノミネートから妻夫木聡は最優秀助演男優賞を受賞したし、『校閲ガール』の評価も高かった。

  そんな中、海外で賞を受賞した性的マイノリティが主人公の邦画洋画が相次いで公開された。『彼らが、本気で編むときは』と『ムーンライト』である。かたやベルリン映画祭、もう一方はアカデミー賞を受賞している。生田斗真が演じたトランスジェンダーの主人公は、心ない言葉や仕打ちに傷つく心を編み物をすることでバランスをとっている。そんな彼がパートナーの姪と暮らし始め母性に目覚めていく……。静かな物語の中に、悲しみややるせなさ怒りが混在しながらも、物語は静かに進んでいく、長い余韻を感じる佳作だ。

  『ムーンライト』では、LGBTにQ(クエスチョン

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