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続くまとめサイト問題の余波、コピペ横行の実態

DeNA「ウェルク」で明らかになった許諾のない画像複写や無断転載は他サイトでも

川本裕司 朝日新聞社会部記者

医療サイト「ウェルク」について記者会見で話すDeNAの南場智子会長(右)。左は守安功社長=2016年12月7日、東京都渋谷区拡大医療サイト「ウェルク」について記者会見で話すDeNAの南場智子会長(右)。左は守安功社長=2016年12月7日、東京都渋谷区
 科学的に根拠のない内容や著作権法違反を疑われる記事を掲載していたDeNAのキュレーション(まとめ)サイト問題が尾を引いている。昨年11月末に同社の医療情報サイト「ウェルク」が記事を非公開したことから、他社もまとめサイトなどの記事を相次ぎ非公開にし検証を始めたが、手間がかかり再公開に踏み切れないでいる。サイトの終了や独自記事の打ち切りといった影響ももたらしている。

  昨年11月から12月にかけ記事を非公開にしたのはリクルート、サイバーエージェント、KDDIグループのスーパーシップなど。

  リクルートグループでは旅行、飲食などを取り上げるまとめサイト「ギャザリー」(リクルートライフスタイル)が昨年12月上旬、美容健康記事16000本を非公開にした。このうち500記事について精査したところ、化粧品について「きれいになる」といった誇大な効能をうたうなど医薬品医療機器等法違反の可能性があるものが26件あった。掲載前の事前チェックが不十分だったのが原因と分析している。その後、再公開したのは引用のない10本だけだ。

  今年1月25日から2月1日にかけ、さらに23000本を非公開にした。同時に、社外のライターや会社に委託していた記事の発注を取りやめた。DeNAの問題発覚後のサイト運営方針の論議で、「まとめサイトという場の運営に徹する」という方針を決め、自社発注記事を非公開にすることにしていたが、5月15日には「5月31日をもってサービスを終了する」と発表した。「事業として持続的に成長させることは難しい。一次権利者の権利保護を十分に図ることが現状では困難」と、収益性と著作権保護のハードルの高さを理由にあげた。

  リクルートホールディングスが運営する「アニプラ」「調整さんメディア」「カルチャー」「レックカフェ」の4つの情報サイトについても昨年12月上旬に非公開とした。「アニプラ」については許諾なしにアニメ画像を複製したことがわかりサービスを終了、他の3サイトは審査を進めている。

  一方、スーパーシップは昨年11月30日から12月9日にかけ、情報サイト「ナナピ」の健康・医療、妊娠・出産、美容、育児・教育、メンタルという5分野の記事15000本を非公開にした。うち440本は今年1月18日から順次再公開したが、「問題なし」とする線引きが難しかったという。今後の再公開は未定。

  サイバーエージェントはエンタメ情報などの「スポットライト」と女性向けの「バイエス」について昨年12月上旬、内容の確認と検証が十分にできない記事を非公開にした。確認作業を進め、今年2月中旬にそれぞれの記事の45%、10%強を再公開に切り替えた。

  なお、同社は5月11日、「スポットライト」を5月1日に設立した新会社「新R25」にブランド統合する、と発表した。若手ビジネスマンを対象とした無料誌「R25」などを運営してきたメディア・シェーカーズの全株式を保有するリクルートホールディングスから譲り受け、6月中旬にウェブメディア上でのニュース解説「新R25」を創刊する予定だ。

  同社の小池政秀常務は「DeNAのまとめサイトは業績を急激に伸ばしていたが、問題が表面化する前から、検索結果を上位に表示される手法が行き過ぎているのではという話題は出ていた」と話す。「上位に表示される工夫はどこでもやっているが、検索サイトのルールや倫理に沿った範囲内のこと。どこで踏みとどまるかは、結局、倫理に頼るしかない。また、まとめサイトへの広告出稿は一時的に減ったが、戻りつつある」と語った。

  まとめサイトについて、ある運営企業は「赤字」と打ち明ける。DeNAの南場智子会長は3月13日の記者会見で、まとめサイトの存続について「白紙」と述べた。

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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