杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
女優やアイドルからOL、学生まで歌舞伎町にくるようになった理由とは
前回はホストクラブの変化で、客層が広がっていることについて言及した。かつてホストのファッションというと、黒いスーツ姿に、宝石の埋まった時計を腕にしてといった「水商売ファッション」であった。ようは客層が同業者……キャバクラ嬢や風俗嬢だったので、水商売ファッションが好まれたのだろう。
しかし、現在は、客層が広がったこともあり、カジュアルなファッションのホストも増えてきた。ジーンズにTシャツといったスタイルで接客をするホストたちもいる。ファッション誌やアイドル雑誌のグラビアから抜け出してきたようなイケメンがずらっと並ぶ。それが現在のホストクラブである。
前回も書いたが、2000年代前半までのホストクラブは、キャバクラ嬢や風俗嬢といった接客業の女性たちが、ストレスを発散しにくる場所だった。
接客で溜めたストレスは、接客を受けることで解消されるのだ。
2000年代後半だったろうか、アダルトに詳しい記者が「AV女優はホストクラブに通わない」と話していた。その時、私もなるほどと頷いた。AV女優は撮影の現場でセックスを演出し、表現する仕事であり、接客業ではないからだ。現場ではスタッフから大切にされるし、ストレスがあるとしても、その種類は風俗嬢とは違う。ホストクラブに行っても癒やされなかったのだろう。
ところが現在はAV女優たちもホストクラブに通っているし、アイドルや女優といったタレントもホストクラブで遊ぶ。ある有名女優がホストクラブで1000万円使ったという報道もあった。
ようは、ホストの容姿もサービスの質も向上しているので、接客業以外の女性も楽しめる場所になっているのだ。アイドルや女優といった人たちは、イケメン俳優や男性アイドルに憧れて芸能界に入ってくるパターンも多い。つまり、元々イケメンが好きなのである。
そういう彼女たちが飛び抜けたイケメンのそろうホストクラブに行きたがるのは自然な流れだ。そして、芸能人ですら魅了する魅力的な男性が多数いる場所には、会社員や学生といったごく普通の女性たちも吸い寄せられていく。
現在、ホストクラブは深夜0時から日の出までは営業ができない。そのため、店によっては、朝の6時からお昼まで営業しているホストクラブがある。
歌舞伎町の人気店を取材した時に、長身で小顔の人気ホストが「朝店に来て、それから会社に行くっていうOLさんのお客さんもいますよ」と話していたが、
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