杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
企業は社員が「勉強」をする時間を確保しないと生き残れない
6月14日、東京労働局は労働基準法違反の疑いで大手旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)を書類送検した。2人の従業員を労使協定の上限を超え、時間外労働をさせていたという容疑とのことだ。
このような形で社名がニュースに流れることをどこの企業も恐れている。そのため、各企業で残業時間の管理が厳しくなっている。
政府も「働き方改革」を推進する中で、残業は減らさなくてはならないという風潮が広がっている。今回は「働き方改革」における「残業削減」は是か非かについて考えてみたい。前半では、なぜ、残業を減らす必要があるか、考えてみたい。
先日、夜8時すぎに原稿を書いていると、取材で知り合った方から、SNS経由でこんなメッセージがきた。
「今、会議中です。先日は取材お疲れ様でした。是非、ご飯に行きましょう。この焼き肉屋に行ってみたいんですが、いかがでしょうか?」
会議中の知人や友人からメッセージがくることはしばしばある。人一倍真面目な職業人たちで、普段は忙しいので業務以外のメッセージを送る暇はない。だから、手持ちぶさたになる会議の最中にたわいもないメッセージを送信する。それだけ意味のないダラダラした会議に出席させられているのだ。
ちなみにこの焼き肉屋に行こうと連絡をしてきた人物には幼い子供がいて、保育園の延長保育を利用している。無駄な会議のために、この人物も保育士も長時間労働を強いられている。
このような日本の組織特有のダラダラ感を是正しろというのが、「働き方改革」の「残業削減」の目的であろう。
今、例であげたように「残業削減」は、子育て世代の「ワーク・ライフ・バランス」実現に必要だという趣旨で語られることが多い。
しかし、現実的には、どんなライフスタイルの人であろうと、「ダラダラした残業」は廃止すべきなのだ。
なぜなら、
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