焦点は岩盤規制ではなく、競合した京都産業大との認定における公平性の担保
2017年07月15日
新しい証拠もないまま、野党の質問は想定されるものばかり。気付くと議論は獣医師養成を抑制する文部科学省の岩盤規制の是非や、獣医師が不足しているのかどうかの需要問題へとすり替えられ、問題の核心からはどんどん離れていく。
確かに文科省の岩盤規制については、国家戦略特別区域諮問会議のワーキンググループ(WG)による省庁へのヒヤリングなどで何度も議論を重ねたうえで獣医学部新設にゴーサインが出されていることは間違いない。私自身、時代にそぐわなくなって形骸化した規制を排除することに異論はない。
だが、加計問題の核心は、そこではない。閉会中審査の論議のなかで、答弁に立った文科省の前川喜平・前事務次官の言葉が示唆に富んでいる。
「問題は規制を改革したということとは別に、規制の改革の際に、どのような条件を付して、結果として何が起こったかということでございまして、穴の開け方の方が問題で、そちらの方が真相解明の争点ではないかと思っております」
つまり、最大の焦点は、岩盤規制でも、獣医師の需要の問題でもない。なぜ愛媛県今治市・加計学園と京都府・京都産業大学の2者が競合するなか、加計学園だけが認定されたのか。そこに公平性が担保されていたのかどうかだ。
2者の比較検討をキーワードに一連の経過をたどってみると、問題の所在がより鮮明に浮かび上がってくる。
5日付東京新聞の朝刊に気になる記事が掲載されていた。国家戦略特区を担当する山本幸三地方創生担当相が記者会見で、加計学園と京産大の獣医学部構想を比較検討したうえで加計学園を選んだ根拠を語っているという。早速、政府インターネットテレビにアップされている記者会見の模様を視聴してみた。
山本大臣は、「認定は1校に限る」ことを決めた後の昨年12月下旬から年始にかけ、両者の提案内容を、①専任教員の確保の状況②地元への就職を勧誘する奨学金など地方自治体との連携③(鳥インフルエンザなどの人獣共通感染症の)水際対策の実現――の3点から検討した。そのうえで「京都府(の提案)よりも、2007年から長きにわたり検討を重ねてきた今治市の提案の方が熟度が高いと判断した」と説明している。
諮問会議やWGによるヒヤリングの議事録を読んでいた私には、この「熟度」という言葉が奇異に思えた。
加計学園は、07年から14年までの間、小泉政権が始めた構造改革特区に15回も提案を繰り返していることを「熟度が高い」と判断したのであれば、一方の京産大も同じころから獣医学部構想を抱いて文科省への陳情を繰り返している。構造改革特区と文科省との違いはあるが、「熟度」がそれほど違うとは思えない。
さらに首をかしげたのは、山本大臣が人獣共通感染症などの「水際対策」についても加計学園に軍配を上げた点だ。
加計学園の獣医学部新設の中心を担っている新学部設置準備室長の吉川泰弘氏は
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