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真夏のストーブリーグの主役だったダルビッシュ

優勝ねらうドジャースが白羽の矢、青木は驚きの移籍

出村義和 ジャーナリスト

記者会見するレンジャーズのダルビッシュ=2015年3月2日、米サプライズ拡大記者会見するレンジャーズのダルビッシュ=2015年3月2日、米サプライズ
  今年もトレード期限となる7月31日に向けて激しい争奪戦が繰り広げられた。この日だけでも成立した主なトレードは15件、球団から発表された移籍選手は約30人にのぼる。まさに『真夏のストーブリーグ』と呼ぶに相応しいスケール感だ。そして、その中で最大の目玉になっていたのが東部時間午後4時の締め切り間際にレンジャーズからドジャースにトレードされたダルビッシュ有だった。

  「心の準備はできていました」というのが発表後の第一声だ。気温が上昇するにつれ、メディアを賑わす噂のボルテージは上がり、やがて確信を持った観測に代わっていった。通常、この時期のトレードはポストシーズン出場が有望視されるチームと、白旗を上げたチームとの間で行われる。高みを目指すチームが若手有望株を放出する代わりに、弱点が補強できる主力級を獲得するというのが基本パターンだ。

  ダルビッシュの去就が連日メディアを賑わせたのは、レンジャーズがズルズルと後退し、このパターンにはまったからだ。しかも今年で6年目を迎えたダルビッシュは、オフにはFA(フリーエージェント)の権利を得る。レンジャーズはシーズン前に契約延長の意思を示していたが、本格的な交渉には至らなかったという経緯もある。

  レンジャーズが仮にトレードに出さず、そのままダルビッシュをFAとして失った場合はドラフト指名権などで補てんされるが、欲しい球団を競わせて将来性豊かな若手選手を獲得した方が得策だ。実際、レンジャーズは獲得に興味を示したヤンキースなど数球団とも交渉を行い、ドジャースから期待値の高い3人のマイナー選手を獲得することに成功した。

  一方、ドジャースはトレード時点で30球団トップの74勝31敗をマーク。地区では2位に14ゲーム差をつけて独走中だが、メジャー最強左腕といわれるクレイトン・カーショウが腰を痛め、

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筆者

出村義和

出村義和(でむら・よしかず) ジャーナリスト

ジャーナリスト。1950年、東京生まれ。法政大学社会学部、ユタ州立大学ジャーナリズム科卒。ベースボールマガジン社でアメリカ総局特派員、週刊ベースボール編集長などを務め、86年からフリー。ニューヨークを拠点に、スポーツから政治、ビジネスまで幅広い範囲をカバー。2005年に帰国後、新聞、雑誌などに執筆する一方で、スカパー!「MLBライブ」の解説を務め、09年からはJスポーツでMLBの解説者となる。著書に『英語で聞いてみるかベースボール』『メジャーリーガーズ』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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