本を“浴びる”状況をつくらないと購買に結びつかない
2017年09月29日
本を買うのにネット通販があれば十分という声は、書籍流通市場の全体像を見誤っている。アマゾンは現在、国内書籍流通市場の1割と言われている(業績非公開)“日本最大の書店”だが、逆に言えば残りの8割以上はリアル書店での売上高だ。
すでに書籍市場の1割を占める電子書籍は事実上マンガでしか市場形成できておらず、そもそも若者はネットニュースやSNSの文字を読むのに時間を費やし過ぎて電子書籍など読んでいない。学生が勉強目的で参考書や問題集を渋々書店で買い求めるのみだ。
そして本というものはどう買われるかというと、タイトルまで指定した本を取り寄せて買うという行動は、アマゾンの市場規模のとおり2017年でもマイノリティーだ。
圧倒的多数の本の購買は、本屋にふらっと出かけて、棚と平積みとPOP広告を“浴びて”実物の本に様々目移りして、立ち読みしたりして、絞り込みつつも2、3冊買ってしまう、という行動によって実現しているのが20世紀と大きく変わらない現状である。アマゾンのおすすめもレビューも、電子書籍の立ち読み機能も、このあやふやな“本を浴びる”行動を代替することはできていない。
逆に、買いたい本を特定できてしまえば
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください