小関順二(こせき・じゅんじ) スポーツライター
1952年、神奈川県生まれ。日本大学芸術学部卒。ストップウォッチを用い、プロ・アマ合わせて年間300試合以上を取材。『大谷翔平――日本の野球を変えた二刀流』(廣済堂出版)、『「野球」の誕生』――球場・球跡でたどる日本野球の歴史』(草思社文庫)、『プロ野球 問題だらけの12球団』(草思社、2000年より毎年刊行)など著書多数。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
野球で身を立てていく人間が悩んでいることが、私には歯痒い
清宮幸太郎(早稲田実・一塁手)の身辺がざわざわしてきた。早稲田大学進学かプロ野球に進むのか、進路表明はカナダで行われている第28回WBSC(世界野球ソフトボール連盟)U-18ベースボールワールドカップ(以下、U-18W杯、~9月11日)終了後と言われている。
清宮自身決めかねている問題を傍であれこれ言うのは気が引けるが、私は以前から日本のプロ野球に進んだほうがいいと思っている。すでにプロレベルの力を備えている選手はさらに高いレベルの世界でやったほうが成長すると思っているからだ。
大学というのは、野球選手でも一般の人間でも生き方がほとんど定まっていない人間が進む場所である。清宮のように生き方が決まっている人間は、その実力に見合った世界に進むべきで、私にはそれが世界の野球環境の中でも高い水準にある日本のプロ野球だと思っている。
U-18W杯に備えた練習試合が8月25、26、27日の3日間、大学生相手に行われ、私は26日の日本大学戦を観戦した。日本代表と言っても高校生なので通常なら大学側は1、2年生でメンバーを組むが、東都の実力校・日大はほぼレギュラークラスを出した。その第4打席で清宮の打球はライトフェンスを越え、その向こうにある校舎を直撃する推定120メートル弾となったのである。
その前日の25日には千葉県大学野球リーグの千葉工大(2部リーグ)戦で、ライト場外に達する高校通算108号を放っている。ちなみに、この3日間の大学生相手の練習試合で使用されたバットは木製である。木のバットで大学生相手に場外に達するホームランを放っているところに清宮の実力を推し量ってほしい。
私が選手を評価する基準はあくまでも技術である。技術のない選手は甲子園大会で実績を積んでも、あるいは「高校通算60数本」と記録を積み上げても大学か社会人野球に進んで打つ形を作り上げてほしい。今夏の甲子園大会で活躍した植田拓(盛岡大付)、西川愛也(花咲徳栄)がそういう選手だ。
しかし、清宮には