相手の長所を消すハリルホジッチ監督の指揮下で生まれた2つの果実
2017年09月08日
もし、昨年10月のイラク戦(埼玉スタジアム)で山口蛍のアディショナルタイムのミドルが外れていたら、或いは、ホームでの初戦に敗れたUAEとの最初の山場となったアウェー戦(3月23日)後半、実に2年ぶりに代表に招集された34歳・今野泰幸がUAEを突き放す2点目のゴールを奪っていなければ、そんな「たられば」を振り返ると、ひとつでも取り損ねていれば、今頃、シリアとのプレーオフの準備をしていたと考えるべきだろう。
アジア全体の情勢も過去とは変わった。一時はUAEを含め4カ国の出場枠争いとなったアジアのレベルアップを示す激戦を抜け出し、W杯ロシア大会の出場権を勝ち得たのは、アギーレ監督の後任として日本にやってきた監督がもたらした何より実りの大きい果実である。
選手個々の起用も2年半が生んだ「果実」のひとつだ。ようやく「ハリル色」、それがどんな彩りなのかまだ明確ではないが、それの兆しは見えてきた。
2015年3月に就任した監督の通算成績はこれで29戦18勝7分け4敗、総得点72に対し失点は18。最終予選でもB組でただ1カ国の一桁失点(7点)で、不用意なミスがないわけではなかったが、復帰した川島永嗣を要とした守備陣の安定性はひとまず合格点レベルだと証明してみせた。
攻撃陣も同様だ。オーストラリア戦先発で起用した浅野拓磨、井出口陽介は監督が初の代表選出をし、大胆な先発起用をした若手で、すでに代表に招集機会はあったものの定着していなかった原口元気、久保裕也、乾貴士、最終戦のサウジアラビア戦で結果は出せなかったが、久々代表に帰ってきた柴崎岳、途中交代で入ったFW杉本健勇ら監督が選んで起用した選手たちが躍動。最終予選中こうした新メンバーであげたゴールは総得点17点中10点を占めており、日本代表史上、もっとも長くなってしまった「端境期」とも指摘できる攻撃陣の入れ替わり、または融合についてもある程度の答えは出したようだ。
勝ち続けるだけが使命ともいえる予選が終わり、強化計画は次のステージを迎える。監督は
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