法務省の勉強会で研修者、実務経験者らの大半は「少年法はおおむね有効に機能」と指摘
2017年10月04日
法務大臣の諮問機関である法制審議会で、少年法の適用年齢を「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げる検討が行われています。一連の流れを見ていると、少年のことを考えての議論になっていないように感じます。
そもそもの事の始まりは、選挙権や成人年齢を18歳に引き下げるという議論からです。その背景にあるのは、憲法改正の手続きを定める国民投票法が2014年6月に改正され、国民投票ができる年齢が「18歳以上」と引き下げられました。
その際に、選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げについては、「速やかに検討を加え、必要な法律上の措置を講ずる」と付則に記され、翌15年に公職選挙法が改正されました。みなさんがご存じのように、昨年から「18歳以上」の人が選挙で投票できるようになりました。
一方で、民法で定められている成人の年齢を「20歳」から「18歳」に引き下げることは、国民投票法案を巡る与野党の議論の中から始まり、2009年には法制審議会が引き下げを答申。選挙年齢も改められたとして、民法改正案の国会への提出も時間の問題とみられています。
政治的な意図がある憲法改正をにらんだ国民投票法改正から公職選挙法の改正、民法の改正へと進む流れの中で、少年法の適用年齢引き下げ検討を後押ししたのが、自民党の稲田朋美さんです。政調会長を務めていた2015年2月末に、少年法改正の必要性に言及しました。「犯罪を予防する観点から今の少年法でよいのか、今後の課題になるのではないか」などと。
しかし、川崎事件のような重大事件については、すでに、16歳以上の少年は原則検察官に送られて成人と同じように刑事裁判を受ける制度になっています。少年法の適用年齢を引き下げても引き下げなくても、川崎事件のような事件には何ら変化はありません。稲田さんの発言は的外れのように感じました。
しかし、自民党はまもなく特命委員会を立ち上げ
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