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なぜ女芸人が面白くなってきたのか(中)

共感を強制する「あるあるネタ」から、シュールで演劇的な芸への進化

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 10年前にお笑い芸人事情について取材をしたことがある。その時に関係者から聞いたのは、やはり、お笑いは男社会ということだった。男にとって、面白いことはかっこいいが、女性はなかなかそういかないという説明を受けた。

  2017年は違う。男社会のお笑い業界で、女芸人たちが台頭してきている。その流れから、日本テレビは今年度から「女芸人No.1決定戦 THE W」を開催する。

  男の芸人たちはどうしても伝統的な芸に縛られる中で、女芸人たちは新しい試みをどんどんやっている。

  2回目の本稿では、かつて女芸人の主流だった「あるあるネタ」が減り、シュールで演劇性の強い漫才が目立ってきていることについて言及したい。女芸人も共感を呼ぶ芸が強制されなくなり、自由に面白いことをやれる時代になってきたのだ。

美人でもブスでもない“十人並み”の女の子

  ピン芸人のにしおかすみこが、かつてこういう主旨を話した。

  「女は1割の飛び抜けた美人、1割のいるだけで笑えるブス、そして、8割の普通の女から構成される。私は普通の女でそれは芸能界で居場所を作るのが難しい」

  上位1割の美貌の持ち主は女優やモデルになれる。そして、容貌のユニークさだけで人を笑わすことができるブスも、バラエティなどで居場所が作れる。しかし、十人並みの普通の女は、テレビや芸能界で商品価値を生み出すのが難しい。

  にしおかすみこはSMの女王様の扮装をして、ノーマルな女子ならではの微笑ましいあるあるネタを繰り広げて、そのギャップでウケた。普通の女は、創意工夫をし、面白いことを仕掛けないと芸能界では注目してもらえない。

男女のイチャつきを演じる「尼神インター」

  今、ブレイク中の「尼神インター」は、誠子と渚という30代の女性同士のコンビだ。誠子はブスキャラで引っ張りだこだが、実はそんなに面白い顔をしていない。松本人志が「森三中」の ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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