杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
メディアは小池氏に初勝利 実は男受けが悪い不器用な女性政治家
前回の記事では、衆議院選挙における希望の党の敗因は小池百合子代表が珍しく弱気になったことだと書いた。世論を気にして出馬を断念したり、「排除」発言への批判にひるんだりと、百合子らしくないことの連続だった。
小池氏は都知事としては今のところなにも成果を出していない。豊洲市場問題は特にどうかと思う。私は築地市場へ取材に行って、地道に商売をしている業者の話を聞いて歩いた経験があるが、一連の騒動で業者はどれだけ大きな損害を被ったのか。また、小さなところでも首をかしげる。東京オリンピックのボランティアの制服を小池都知事はセンスがないと作り直させたが、新しい制服もユニフォームもダサく見えるのは私だけだろうか。どうも小池都知事は実務的なことへの意欲がないようにも感じられる。
しかしだ。その一方で、典型的な男社会である政界を、小池百合子氏が引っかき回す様子を見ていると、爽快に感じてしまうのも事実だ。小池都知事を支持する女性層も同じような感想を持っているのではないか。
衆議院選挙の間、連日のように小池百合子氏への批判が報道された。週刊誌に手を伸ばせば、『傾国の「小池百合子」』(「週刊新潮」10月19日号)という見出しが表紙に躍っているし、ラジオをつければジャーナリストや学者、評論家が小池批判を繰り返す。特に「排除発言」の時は鬼の首をとったかのようだった。
今回、小池氏はメディアからの総バッシングに負けたように見える。本人は無視しようとしても、党内から「ここまで批判されては」という声があれば、小池氏も無視できなかったのかもしれない。
小池百合子という政治家はメディアから叩かれるほどに輝いてきたが、今回はメディアに負けた形になった。
それにしても、メディアでの小池百合子氏への批判は過剰であったと思う。コンプライアンスの
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?