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W杯組み合わせで残り物に福? 日本は8強なるか

ハリルホジッチ監督は強豪国と同じ組に「入るな」とフランス語で念じていた

増島みどり スポーツライター

W杯ロシア大会の組み合わせ抽選で初戦の相手がコロンビアに決まり、盛り上がる人たち=2017年12月2日午前0時55分、東京・恵比寿拡大W杯ロシア大会の組み合わせ抽選で初戦の相手がコロンビアに決まり、盛り上がる人たち=2017年12月2日午前0時55分、東京・恵比寿
 1日(日本時間2日深夜)モスクワのクレムリンでプーチン大統領も出席するなか行われた2018W杯ロシア大会抽選会は、世界中から1000人にも上るジャーナリストや関係者が集結し、4年に一度行われる試合とはまた違う独特な高揚感に包まれていた。

 「H組に入る予感がしていた。ハリルホジッチのHだから・・・」

  抽選会直後のインタビューでは記者たちにこんなジョークを交えて余裕を見せていたハリルホジッチ監督も、実際に抽選が進んでいる最中にはこんなゆとりはなかったという。一緒に見守った関係者たちによると、フランスのC組、アルゼンチンのD、ブラジルのE組に入るランキング下位国の番には、「入るな、入るな・・・」とフランス語で念じ、外れると「フーッ」と大きなため息をついて笑っていたそうだから、本音は「ハリルのH」に予感が働く状態ではなかったようだ。

  抽選が、これまでの大陸別からランキングでの4グループ分け(ポット)となった初の方法だけに各国ともいつも以上に運を天に任せるこの数十分間に緊張していたのかもしれない。

  前回大会優勝のドイツ、プレーオフでイタリアを下したスウェーデン、メキシコと同じ組に入った韓国は、いつもの強気な様子が嘘のように落胆していた。日本サッカー協会関係者に「(組を)代わって・・」とつぶやいたとも聞いた。

  同じアジアから唯一ランキングで第3ポットに入ったイランのケイロス監督(ポルトガル)は、かつて名古屋グランパスエイトで監督を務めており、日本のメディアに歩み寄って挨拶。親日家の姿勢は見せながらも、ポルトガル、スペイン、モロッコとの激戦(B組)について聞かれると「私たちが突破する。ポルトガルも、スペインも驚くはずだ」と、超強気なコメントで早くもファイティングポーズを作った。

  ブラジルのチッチ監督は、11月に日本と親善試合を行っていたのも理由だろうか、抽選会が終わった翌日、宿舎で取材をしていた日本人記者たちにていねいに一礼して声をかけるなど、優勝候補の一角として余裕を漂わせた。

  W杯本番になると

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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