阿蘇カルデラの噴火の可能性を認めた意義は大、国際的基準より劣る日本の規制要求
2018年01月12日
初の高裁による原発稼働差止め仮処分、判断であり、この点で、社会やほかの原発訴訟に与える影響が大きいと思われる。
もっとも、判断の内容をみると、かなりの問題をも含んでおり、手放しで全体を評価できるようなものではない。その意味では、いわば、「諸刃の剣の決定」といってよいだろう。そして、ことに、配布された(インターネットでも閲覧できる)「決定要旨」の書き方からみると、かなりの混乱も感じられ、各論点について裁判体の内部で議論が分かれた可能性もうかがわれるところだ(もちろん、この点は、長年の裁判官経験のある私の、経験に基づく推測の域を出ないが)。
以下、裁判所がその判断をみずから要約したものであり、その意味で要約として信頼性が高いといえる「決定要旨」(これが担当裁判官(ら)によって作成されることは、周知の事実だ)の文言を中心的に引きながら、順次分析してゆきたい。
まず、「火山事象の影響による危険性について、伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理であり、抗告人らの生命身体に対する具体的危険の存在が事実上推定されるから、抗告人らの申立ては、被保全権利の立証(疎明)がなされたといえる。伊方原発は、現在稼働中であるから、差止めの必要性(保全の必要性)も認められる」としている点は、伊方原発から約130キロメートルの距離にある阿蘇カルデラの噴火による危険性を認めたものであり、その意義は大きい。被保全権利と保全の必要性を認めた点も、後記のとおり差止めに異例の期限を付けている点を除けば、適切である。
この決定の評価すべき部分が以上に尽きるのは、審理の経過からして判断に対する期待が大きかっただけに、いささか残念だ。
だが、原発訴訟のような、裁判官に大きな負荷のかかっている、「統治と支配」の根幹にふれる裁判
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