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箱根駅伝と高校サッカーで輝き放った2人の名伯楽

ともに72歳、岡田拓大監督と小嶺長崎総合科学大付属高校監督が見せた存在感

増島みどり スポーツライター

 1月3日、青山学院大が圧勝で4連覇を達成した箱根駅伝のゴール、東京・大手町は、史上6校目となる偉業の達成と同時に、来年の出場を決めるシード権争い(10位以内)に湧いていた。昨年の出雲駅伝優勝校・東海大は5位、昨年の全日本大学駅伝を20年ぶりに制し優勝候補の一角に据えられていた神大は13位とシードも逃がしてしまった。

  53歳の大後栄治監督(神大)はレース後「箱根はやはり何があるか分からない」と言った。1人20キロ、それも高低差のある難コースを10人で2日間かけて走破する箱根には不確定要素が潜む。百戦錬磨の監督誰もが、大後監督同様の感想を改めて抱いたのではないか。

箱年駅伝往路で4位に入った後、笑顔でインタビューを受ける拓大の岡田正裕監督=2018年1月2日箱年駅伝往路で4位に入った後、笑顔でインタビューを受ける拓大の岡田正裕監督=2018年1月2日
  そうした中、4年ぶりのシード権を獲得する8位に食い込む大健闘を見せたのは、72歳の岡田正裕監督率いる拓殖大だった。情熱は少しも衰えず「老将」などと言ったら叱られてしまうだろう。または、2006年に箱根で亜細亜大を初優勝させた「名伯楽」と言えば監督が「何を言ってますかぁ」と笑い出すに違いない。飾り気など一切ない指導者なのだ。

  1945年熊本生まれの今大会最年長監督は、シード権獲得に「ホッとしました」と表情を崩し選手を労った。総合での過去最高順位(11年の7位)は上回れなかったが、往路では大学史上最高となる4位(復路は11位)でシード校に復帰。超高校級のエースが集まるような有名校ではない。しかし選手の努力と、72歳の計算、決断力、経験値と「3K」が見事に融合した結果である。

  80年代、地方(熊本)のスーパーマーケット、「ニコニコドー」から松野明美さんの激走を象徴に女子陸上界をリードした監督を今も変わらず取材できる楽しみに胸を躍らせていたら、サッカーの高校選手権で、長崎総合科学大付属高校が今大会優勝候補の青森山田を降して初の8強に入ったという。小嶺忠敏監督もまた1945年生まれで長崎出身の72歳。偶然にも同じ九州出身の同じ年齢の2人を取材する何ともぜいたくな正月となった。

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