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ベッキーが復活しないのは不倫のせいでない(下)

テレビ業界は余裕なし 斜陽産業では優等生なだけの女子は必要とされない

杉浦由美子 ノンフィクションライター

  そもそもなぜベッキーはあれほどの売れっ子だったのだろうか。

  ベッキーの不倫報道直後に、タレントの上沼恵美子は番組内でベッキーをこう表現した。

  「ドラマで当たってるわけでもないし、バラエティでもものすごくオモロイことをいうわけでもないし」

  上沼恵美子は昭和の時代に天才漫才師として活躍した。島田紳助は彼女の漫才を録音して分析して勉強したと話す。ネットで探せば若き頃の上沼の見事な漫才が見られる。あれを見たら、誰しもが、彼女が芸の力でスターになったことに納得できるはずだ。

  しかし、ベッキーはそうではない。なぜ、あんなに売れっ子だったのか、視聴者には分かりにくい存在だ。そのため、多くの視聴者が「なぜベッキーはテレビに出ているのか」と疑問をもっていて、そういう潜在的なベッキーへの反感が不倫スキャンダルをきっかけに爆発したように思える。 

ベッキーが超売れっ子になった3つの理由

 そもそもなぜベッキーはあれほど売れっ子になったのか。3つの理由が考えられる。

  1つめは有能だからだ。ベッキーの悲劇は、まずその能力が視聴者から分かりにくいところだ。売れっ子になるタレントは仕事ができる。スタッフの至らないところや、共演者のミスをさりげなくフォローする能力があるのだ。だから、仕事のオファーが殺到する。

報道陣の取材に答えるベッキー=2016年6月10日、東京都内拡大報道陣の取材に答えるベッキー=2016年6月10日、東京都内
  それを痛感したことがある。以前、フリーアナウンサーの高橋真麻と仕事で一緒になったが、彼女の能力には感服した。私は進行役だったが、タレントとの仕事は慣れていないので、最初、戸惑った。すると、高橋が自主的に仕切ってくれて、仕事をスムーズにスタートさせてくれた。ベッキーも同じなのではないか。

  タレントが「ベッキーさんと共演して感心した。素晴らしい」とよく語るが、それは現場で助けてもらった経験があるからだろう。自分のギャグが滑った時に、うまくフォローしてくれたり、進行がなめらかになるように配慮してくれたりと、そういうサポート力が抜群に高いのだろう。そして、そのベッキーの働きは視聴者には見えてはいけないものだ。結果、視聴者からすると「面白くもないのにテレビに出てる不思議な存在」に見えてしまう。

  2つ目の理由は、実際にはたいそうな美貌なのに、そうは見せない演出だ。

  多くの女優やモデルを撮影してきたカメラマンがベッキーをこう表現した。

  「元気なイメージで売っているけれど、実際には美人だ」と。

  そうそうたる女優を見てきた目が「美人だ」と表現するからには、売れっ子の女優と同じクラスの美貌なのだ。しかし、それを彼女は過剰な笑顔で崩すことで、「美人ではないけれど元気なベッキー」を演出し、好感度を高め、バラエティで居場所を作った。

  3つ目は、不況の時代があったと思う。2000年代前半にタレントの菊川怜がCM女王になった時期があった。その理由として不況の時代に企業はとにかくスキャンダルを恐れた。菊川は実家も堅く、親や妹も決しておかしなことをしない。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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