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大谷が順応しやすい環境とチーム事情のエンゼルス

補強ポイントだった投手と左打者、DH起用を明言し二刀流に理解

出村義和 ジャーナリスト

ソーシア監督(左)とエプラーGM(右)に挟まれて記念撮影に応じる大谷=2017年12月9日、米アナハイム拡大ソーシア監督(左)とエプラーGM(右)に挟まれて記念撮影に応じる大谷=2017年12月9日、米アナハイム
  メジャーでプレーする前から、これほど現地メディアに報じられた日本選手はいない。野茂英雄もイチローも、そして松井秀喜も遠く及ばない。今オフについていえば、すべてのメジャーリーガーの中でも、大谷翔平に関する情報量はトップだったのではないか。

 「ニッポンのベーブ・ルース」、「現代版ベーブ・ルース」のインパクトはそれほど強かった。野球界にとどまることのないアメリカ社会のアイコンが21世紀に甦る。このロマンに人々は注目した。

 しかも、のちにホームランの代名詞になるルースが投手と野手の二刀流選手として活躍していた時期に、最初で最後の2桁勝利&2桁ホームランを達成してから、今年がちょうど100年となる。野球は数字のスポーツでもある。ファンはこういう偶然、運命にはコロリと参る。キャンプインは2月14日に迫っている。想像を超える大フィーバーになることは違いない。

  それにしてもすさまじい争奪戦だった。メジャー30球団のうち3分の2以上が獲得に名乗りを挙げた。それに対して大谷側が書面によるプレゼンを要求し、その結果残った7球団と面談をして決めるという前代未聞のプロセスを経てロサンゼルス・エンゼルス入りが決定した。

  これほどの争奪戦が起こったのは何よりもまず、各球団が何年にも渡って派遣したスカウトたちの評価が抜群に高かったからだ。しかし一方で、ポスティング制度(入札)の改正や、メジャーの新労使協定によって25歳未満のドラフト対象外の海外選手の契約金が厳しく制限されるという事情もあり、これまでポスティング制度での選手獲得が難しかった補強資金に恵まれない中小規模都市の球団にもチャンスが生まれ、大谷人気に拍車がかかったという側面もある。

  23歳の大谷はその中でヤンキースやドジャースといった伝統人気球団ではなく

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筆者

出村義和

出村義和(でむら・よしかず) ジャーナリスト

ジャーナリスト。1950年、東京生まれ。法政大学社会学部、ユタ州立大学ジャーナリズム科卒。ベースボールマガジン社でアメリカ総局特派員、週刊ベースボール編集長などを務め、86年からフリー。ニューヨークを拠点に、スポーツから政治、ビジネスまで幅広い範囲をカバー。2005年に帰国後、新聞、雑誌などに執筆する一方で、スカパー!「MLBライブ」の解説を務め、09年からはJスポーツでMLBの解説者となる。著書に『英語で聞いてみるかベースボール』『メジャーリーガーズ』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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