3カ年経営計画で力を入れた地域放送の改革 不祥事の連鎖をまず断ち切れ
2018年01月30日
経営計画が掲げる重点項目は、(1)“公共メディア”への進化(2)多様な地域社会への貢献(3)未来へのチャレンジ(4)視聴者理解・公平負担を推進(5)創造と公立、信頼を追及、の5つだ。
15~17年度の経営計画にまったく触れられておらず、今回盛り込まれた要素といえるのは、(2)の地域放送だ。「きめ細かい防災・減災情報の提供」「暮らしに身近な情報や関心の高いテーマを取り上げる番組の充実」「地域に関連する利便性の高いインターネットサービスを開発・提供」などの目標を据えている。
NHK関係者によると、災害報道が公共放送の重要な柱と位置づけられるなか、地震や台風などの放送は民放より手厚く実施されてきた。しかし、全国中継をはじめ広範囲を対象に放送する結果、被災していない地域でも災害報道が長く続く傾向があった。
こうした実情を踏まえ、全国や関東、近畿地方といった規模ではなく、災害報道を県単位で切り替えるなど、地域のニーズにきめ細かく対応する編成を進めることが「地域放送改革」の狙いのひとつという。
籾井勝人前NHK会長は16年の年頭あいさつで、「私は最近、視聴率にこともよく言っている、視聴率は大事ではない、質の方が大事だという考え方には必ずしも反対しているわけではない。しかし、私は質も視聴率も両方を要求したい」と言い切った。さらに「59歳以下の現役世代のNHKの視聴率、これが100傑の中に1つか2つしか入っていない」「ニュースにしても、入ったとして100傑の中の終わりのほうで、NHKの誇りとしてはなかなか許容しがたい。……ほかの民放の報道番組より低いのかについても謙虚に反省する必要があるだろうと思う」と、視聴率アップを職員に露骨に求めた。
この籾井氏の意向を反映したのが、16年4月の改編だった。平日の19時30分から放送されていた、国谷裕子さんがキャスターを23年間務めた「クローズアップ現代」の代わりに、「鶴瓶の家族に乾杯」「ガッテン!」など高齢者を中心に視聴率の期待できる娯楽番組が据えられた。国谷さんは降板して衣替えした「クローズアップ現代+」は22時と遅い開始となった。
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