プレート運動でできた列島、世界有数の地震発生地帯
2018年02月02日
地球表面を覆っている十数枚のプレートが水平にバラバラに移動することで、プレート相互の境界部では、広がったり、すれ違ったり、縮んだりする。それぞれが、「発散型境界」、「すれ違い型境界」、「収束型境界」と呼ばれる。
発散型境界は、海洋プレートが生み出されるところで、大洋の中央部に連なる海底山脈の中央海嶺を形成している。中央海嶺は、大西洋中央海嶺からアフリカ南端、インド南端を経て東太平洋海膨へと繋がっている。中央海嶺には,トランスフォーム断層と呼ぶ断裂帯が多数ある。これがすれ違い型境界で、カリフォルニアにあるサンアンドレアス断層もトランスフォーム断層である。
一方、収束型境界には、大陸プレート同士が衝突して盛り上がる「衝突境界」と、重い海洋プレートが軽い大陸プレートや新しくて軽い海洋プレートの下に沈み込む「沈み込み境界」がある。衝突型境界の典型は、インド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの衝突で盛り上がったヒマラヤ山脈である。太平洋西縁の沈み込み境界では、日本列島を始めとする弧状列島を作っている。日本の場合は、東北日本では北アメリカプレートの下に太平洋プレートが沈み込み、西日本ではユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる。また、伊豆・小笠原諸島は、古い太平洋プレートが新しいフィリピン海プレートの下に沈み込んでできた火山群島である。
沈み込み境界では、表面に水分を含んだ海洋プレートがマントル内に潜り込む。水の存在によって周辺のマントルの融点が降下し、ある一定の深さになるとマグマができ、これが上昇して火山を形成する。東北日本に南北に連なる火山や伊豆・小笠原諸島の火山は、太平洋プレートの沈み込みによってできた火山である。
沈み込む海洋プレートの上には、海の中に居たプランクトンやサンゴの死骸が何千万年もかけて堆積している。海洋プレートが沈み込むときに、この堆積物をひっかき出して陸に付加した場所が付加体である。西日本の太平洋側は四万十帯などの付加体でできており、石灰岩が多く産出される。これからできるのがセメントである。石灰岩は我が国では珍しく豊富な鉱物資源である。プレート運動が構造物を作るコンクリートの原料の石灰岩を生み出し、プレート運動によって生じる地震がコンクリートでできた構造物を壊し、再び土に返らせる。何とも不思議な輪廻を感じる。
太平洋プレートが沈み込む場所には、北から千島海溝、日本海溝、伊豆・小笠原海溝があり、フィリピン海プレートが沈み込むところには東から相模トラフ、駿河トラフ、南海トラフ、琉球海溝がある。ちなみに、トラフの語源は家畜用の飼い葉桶で、6000mより浅い海底盆地のことを言い、6000mを超えると海溝と呼ぶ。北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界付近には、フォッサマグナと呼ばれる地溝帯があり、地溝帯の西端にある活断層が糸魚川・静岡構造線である。
我が国の首都・東京は、北アメリカプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、さらにその下に太平洋プレートが沈み込むという三重にプレートが重なった場所に位置する。また、伊豆半島は、フィリピン海プレートの下に太平洋プレートが沈み込んでできた伊豆諸島が、フィリピン海プレートの移動と共に本州にぶつかってできた半島である。伊豆半島の衝突によってフィリピン海プレートは、素直に沈み込めなくなり、相模トラフと駿河トラフで、北東方向と北西方向とに分かれて沈み込むことになった。伊豆・箱根の山々はこの衝突ででき、富士山の噴火も衝突による力でできる割れ目で起きる。普段、伊豆・箱根の温泉群や風光明媚な自然を満喫しているが、伊豆・箱根や富士山などの活火山の存在は忘れないでおきたい。
日本列島は世界有数の変動体にある。このため、日本の国土面積は世界の全陸地面積の400分の1程度でしかないが、世界で起きる地震の10分の1程度が日本周辺で発生している。火山の数も全世界の火山の7%程度である。地震の震源は、
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