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『99.9』の好調は小渕優子の夫の手腕(上)

情報化があふれる時代にリアリティがあるドラマを作るには、緻密な取材が必要

杉浦由美子 ノンフィクションライター

ドラマ「99.9」で主演の松本潤とコンビを組む香川照之=2016年4月26日、東京都千代田区拡大ドラマ「99.9」で主演の松本潤とコンビを組む香川照之=2016年4月26日、東京都千代田区
 ドラマの視聴率が冷え込む中で、今クール視聴率トップなのが『99.9-刑事専門弁護士-SEASONⅡ』である。

 非常に丁寧かつ計算して作られていて、特に2回目は、前シリーズから持ち越していた主人公の過去を描き、劇場映画1本分の内容を1時間ドラマに凝縮しているような贅沢なものだった。それを反映してこの2回は視聴率18.0%と、今クールの夜の連続ドラマで、最も高い視聴率をはじき出した。

  このドラマのクレジットを見ると、「なるほど」と思う。プロデューサーとしてTBSの瀬戸口克陽が名を連ねている。『花より男子』シリーズ、『Around40~注文の多いオンナたち~』などの数々のヒットドラマを世に出した敏腕プロデューサーだ。衆議院議員・小渕優子の夫としても知られる。

  私は『Aroud40~注文の多いオンナたち~』の記事を書くために、2008年に瀬戸口をTBS本社で取材したことがある。クレバーという表現はこういう人のためにある、と感じた。最初は取材用に用意していたコメントをするが、その後、私があれやこれやと突っ込んだ質問をすると、実に論理的にヒットするコンテンツの作り方を説明してくれた。

  この取材の後に、小渕優子の夫と知り、「あんなに優秀な男性と結婚する小渕優子という人は立派だな」と思った。凡人の女はもっとぼんやりした男性を選ぼうとするが、そういう楽な方へ流れないのが、小渕家の跡取り娘としての甲斐性なのだろう。

  さて、『99.9』のシーズンⅡ、なぜ今クール視聴率トップなのだろうか。

  その理由は大きく見てふたつある。取材に手間をかけてオリジナル脚本を作っていること、そして、誰が見ても不快感を持たない“イヤミのなさ”だ。

弁護士たちの実体験を緻密に取材

  『99.9』は前作が2016年に放送された。この際、瀬戸口克陽は雑誌『コンフィデンス』(オリコン)でインタビューに答えている。それによると、2015年の夏から準備をはじめ、他のプロディーサーや脚本家と取材を重ねていったという。弁護士たちに実体験を聞いていったという。

  これらの取材がなぜ必要か。資料を読むだけでは、具体的なディテールが分からないからだ。たとえば、シーズンⅡの3話では、防犯カメラの映像を弁護士ではなかなか見せてもらえないが、ベテランのパラリーガルが派手に土下座をすると ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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