メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

フィギュア団体戦、カナダが作戦勝ちした理由

「最後の五輪」になるベテラン勢の総合力、一番手の選手起用

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

フィギュア団体で優勝して喜ぶカナダの選手たち拡大フィギュアスケート団体で優勝して喜ぶカナダの選手たち

 2月12日、合計3日にわたって開催された団体戦が終了。平昌オリンピック、フィギュアスケート初の金メダルは、カナダチームが獲得した。

 4年前のソチオリンピックでは団体銀メダルを手にしたカナダだったが、今回は見事に優勝を果たした。だがそれは、団体戦に狙いを定めて周到に計画を立てた結果なのだという。

 今回のカナダチームは、実力はあるものの勢いで若手に押され気味、というベテラン選手たちが揃った。特に女子以外の3種目では、おそらく今シーズンをもって競技引退という選手たちばかりである。男子のパトリック・チャンもその一人だ。

男子フリーの演技をするパトリック・チャン拡大団体戦で活躍、カナダの金メダルに貢献したパトリック・チャン。おそらく今回が最後の五輪になるだろう
 「ソチから今までの4年で、男子のスケートはものすごく変わりました。自分はもうトップレベルで戦っていくことも、厳しくなっています」と率直な気持ちを語った、27歳のパトリック・チャン。

 かつての世界王者も、羽生結弦、宇野昌磨、そしてネイサン・チェン(アメリカ)ら若手たちのジャンプ能力には、もうついていけない。フリーで2度の4回転ジャンプが精いっぱいのチャンにとって、トップ男子が4度も5度も入れてくる現状に張り合っていくのは現実的に無理だった。

 「でもチームとしてなら、我々にもチャンスがあると思ったのです」とチャン。

パトリック・チャンの確信

 それはチャンだけではなく、アイスダンスのテッサ・バーチュー&スコット・モイア、そしてペアのミーガン・デュハメル&エリック・ラドフォードにしても同じだった。

テッサ・バーチュー、スコット・モイヤー拡大アイスダンスのベテラン、テッサ・バーチュー&スコット・モイア組
 28歳のバーチューと30歳のモイアは、2010年バンクーバーオリンピック王者である。だが2014年ソチオリンピックで銀メダルに終わった後、2シーズン、競技から休養をとった。

 2016年秋に競技復帰してから出場した大会ですべて優勝してきたが、今シーズンになってから強敵、若手のフランスチームが二人の前に立ちふさがった。

 名古屋GP(グランプリ)ファイナルでガブリエラ・パパダキス&ギョーム・シゼロンに敗れ、平昌オリンピック前のもっとも重要な国際大会で2位に終わったのだ。

 ペアのミーガン・デュハメルは32歳、パートナーのエリック・ラドフォードも33歳で、おそらく今回が最後のオリンピックになる選手である。比較的遅咲きの彼らは、ソチオリンピックの翌年2014年/2015年シーズンにピークを迎えて、世界選手権も含む出場した試合すべてで優勝した。

 だが昨年(2017年)の世界選手権では7位に終わり、ここのところ中国、ロシア、ドイツのペアに押され気味である。

 だがこうした ・・・ログインして読む
(残り:約1331文字/本文:約2401文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書に、『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』、『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

田村明子の新着記事

もっと見る