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「福島の農産物は買わない」が県外では今も2割

東大調査 福島県外では米の全量全袋検査や結果の認知率が低い

川本裕司 朝日新聞記者

出荷に向けて全量全袋検査を受ける早場米=2016年8月26日、福島県本宮市出荷に向けて全量全袋検査を受ける早場米=2016年8月26日、福島県本宮市
 食材で積極的に福島県産は避けている人が県外では20%いることが、関谷直也・東大特任准教授(災害情報学)の調査でわかった。東京電力福島第一原発事故から7年を迎えるなか、福島県は3月2日、避難指示が出た地域を除き、米の全量全袋検査を早ければ2020年産から抽出検査に切り替えることを決めた。福島県産品への根強い「拒否層」の存在が改めて浮き彫りになっている。

  関谷准教授は原発事故の風評被害について、2013年から調べてきた。4回目の17年2月には、全国の9500人を対象にインターネット調査した。福島県民では、普段たべる食品について「積極的に福島県産は避けている」と答えたのは13年の28%から17年は12%へと半分以下になった。一方、県民以外では28%(13年)から20%(17年)へと減り方が少なかった。

  17年調査では、福島県が12年から実施している米の全量全袋検査の認知率が、県民の79%に対し県民以外は41%。「食品の含有放射性物質がほとんどND(検出限界値以下)」についても、県民の50%は知っているのに比べ、県民以外は18%にとどまっている。

  関谷准教授は「福島県外では、検査結果が十分に伝わっていないのが問題。ただ、福島産食品を避ける2割を除く8割の人に届けられればいいのだが、拒否層を流通業者が過剰に気にしている。震災後に流通ルートが変更され、消費が回復していない」と指摘する。

  また、2月下旬に「原発事故と『食』」(中公新書)を刊行した五十嵐泰正・筑波大准教授(社会学)は

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