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移籍金制度は「最後のワルあがき」か(下)

独立したタレントの出演などの妨害を禁止する法律がある韓国が参考になる

小野登志郎 ノンフィクションライター

タレントとして活動していた清水富美加=2015年6月10日、東京都渋谷区タレントとして活動していた清水富美加=2015年6月10日、東京都渋谷区
  芸能界では給与においても「やりがいの搾取」といえる行為が頻発している。2017年2月11日に突然引退を発表し出家した清水富美加は、同年2月17日に発売された著書『全部、言っちゃうね。(幸福の科学出版)』で下記のように記している。

  「仮面ライダーの現場は本当に忙しかったです。事務所からの給料は5万円、源泉税抜いて手元に来るのは約4万5千円でした。実家だから、家賃も食事も支給されていませんでした。食事などの生活費も全部自分で払わなきゃいけなかったから本当に生活できない額で、2014年の途中までは月5万円だったと思います。」

  清水富美加が仮面ライダーでヒロインを演じていたのは2011年9月4日からで、仕事が入るようになってからも長期間、非常に安い給与で働かされていたことになる。売れるまでは生活するのも苦しいなどと言われているが、売れてからはさらに苦しいのである。

  のんもまた同様の訴えをしていたし、お忘れの読者もいるかもしれないが1996年にSMAPの木村拓哉も同様の問題で事務所との契約更新に対して弁護士を通じて交渉を提案している。

  木村拓哉の場合はジャニーズ事務所が給料を引き上げること、また写真集『木村拓哉(川島インターナショナル)』を、当時、木村拓哉の父が経営する会社から出版する許可を勝ち取り、その後は待遇が改善されているようで、2017年1月のSMAP解散騒動でもジャニーズ事務所についている。とはいえ、このように交渉に成功した例は少なく、国民的アイドルとまで言われるような大物でなければ、事務所の力に負けてしまうだろう。

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