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R-1優勝の濱田祐太郎は障害者雇用の変化の象徴

実力の世界では性別や学歴、国籍での差別はない 障害者が能力を発揮できる時代へ

杉浦由美子 ノンフィクションライター

盲目の漫談家・濱田祐太郎=2017年7月6日、大阪市中央区拡大盲目の漫談家・濱田祐太郎=2017年7月6日、大阪市中央区
  ピン芸人のナンバーワンを決める賞レース『R-1ぐらんぷり2018』で、生まれつきほぼ目が見えない濱田祐太郎が優勝した。

 彼はスタッフに誘導され、マイクの前に立ち、視覚障害者あるあるをしゃべくり芸漫談で披露した。

  彼の優勝は至極、当然だ。うまいのだ。他の芸人が小道具を駆使してのコント仕立てのネタを披露したり、楽器を弾いたりする中で、濱田はマイクの前で立って、ただ、しゃべるだけだ。

  そのネタの内容は、視覚障害者の日常でちょっと困ったことなど、さほど奇異な内容ではない。初対面のおばさんに「ほとんど目が見えていない」と説明した直後に、「それで兄ちゃん私の顔見えてるの?」と訊かれたり、女の子に「車運転したことある?」と言われたり。そういうたわいもないエピソードだ。

  それでちゃんと聞かせるのだから、しゃべくりがうまいのだ。芸人としての技量が高い。

 審査員の桂文枝が濱田のネタを高評価したのは、落語家は話芸を重んじるからだろう。一方、女芸人・紺野ぶるまは全体的に評価が低かった。彼女が得意とする「勘違いしている痛い女」ネタは、現代風でリアリティがあり、ブラックで面白いのだが、表現力やパフォーマンスの力がまだまだという判断なのだろう。

 思うに、『R-1』では審査基準に「シンプルなネタほど高評価。小道具や衣装、トリッキーさに頼らずに、芸の力で勝負したネタを評価する」という要素があるのではないだろうか。

  漫才日本一を決める『M-1グランプリ2018』の予選では、時事ネタや芸能人ネタはマイナスポイントになるそうだ。時事や芸能人という話題のトピックに依存すると、笑いをとるのが楽になるからだ。

  『R-1』は決勝でも「芸以外の要素に依存してないもの」を評価するようにも思えた。濱田はシンプルなしゃべくり芸で勝負し、ゆえに、評価されて勝ち抜いたのだ。

障害者と共生する意識が育っていない

  ところが、この濱田祐太郎が『R-1』で披露したネタには賛否両論が巻き起こった。障害をネタにすることへの批判があり、一方で「タブーを破った」という賞賛の声があった。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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