河合幹雄(かわい・みきお) 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)
1960年、奈良県生まれ。京都大大学院法学研究科で法社会学専攻、博士後期課程認定修了。京都大学法学部助手をへて桐蔭横浜大学へ。法務省矯正局における「矯正処遇に関する政策研究会」委員、警察大学校嘱託教官(特別捜査幹部研修教官)。著書に『安全神話崩壊のパラドックス 治安の法社会学』『日本の殺人』『終身刑の死角』。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
AVを隠した撮影などを禁じ健全化をめざす業界自主ルールが4月から実施
「AV出演強要」と名付けられた問題と、それについての対応は、他稿で詳しく述べた(現代ビジネス)ので本稿では最小限にとどめ、これまで謎に包まれてきたAV業界について、いかなる業界なのか、さらに、その健全化とはなにか、方向性を考察しておきたい。
今回の経緯を簡単に振り返れば、人権団体、内閣府男女共同参画、マスコミ報道、警察の検挙の嵐にあって、AV業界のうち、合法に営業続けたい人々の中から、メーカーと販売・配信・レンタル企業からなる「IPPA」、プロダクションの連合「JPG」、女優の「AVAN」が結束し、AV業界改革推進有識者委員会が2017年4月に創設された。
委員会は、撮影に関して適切になされたという意味での適正AVという枠組みをつくるという基本方針を提示した。私は、その4人の委員のひとりである。この委員会は、10月にAV人権倫理機構として再発足し、業界自主規制ルールを具体化し、2018年4月から完全実施という運びである。
その中身は、統一契約書の使用により、AVであることを隠した勧誘の禁止、AVに出演することのリスクの丁寧な説明、AV女優が最後の瞬間まで出演辞退できるように、
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